• SF
  • 現代ドラマ

崩れ味玉60円

崩れ味玉60円。それが今の私の、幸せの値段。

私の住んでいる地域は飲食店の多い地域で、ついでに言えば外国人の坩堝のような、いわば”人種のサラダボウル”じみた空間で、外に出れば日本語よりも他の国の言葉を聞くことの方が多い。
この地域に住んでいると、同じ顔のように見える東アジア人でさえもそれぞれ民族的特徴を備えていて、そのうち何割かは後天的に身についたいわば”文化的特徴”なのだということが理解出来る。

生活は乱れている。夜も昼もない街で、どんな時間にも外に出れば歩いている人が居る。夜中には吐瀉物を出す酔っ払いが現れる。朝になれば彼等の出したものがそこらじゅうで見受けられる。昼間にはそれがなくなっている、たまにそのままになっている。それぐらいの違いである。いつ外に出たって人が居るし、夜に牛丼屋も蕎麦屋も定食屋もやっている。この街は人を太らせる機械のようなものだ。一時期ヴィーガニストが非難していたフォアグラの作り方をそのまま再現している。夕方に目が覚めれば飲食店は選び放題だ。ラーメンでも蕎麦でも牛丼でも何でも食べられる。くそったれ。つけ麺を食べてしまった。いつものことである。

さて、そのラーメン屋に行くと、白人と黒人混合のグループがビールを飲んでいる。気分良く酒を飲んでいるようで、しきりに
「ライフ・イズ・ビューティフル!」
だの
「ワンダフル・ワールド!」
だのと叫んでいる。誰も気にしない。酔っ払いとはそういう生き物である。
つけ麺大盛り(二玉)を食べた後に、私はちょい呑みメニューを引っ張り出す。
『崩れ味玉60円(数量限定)』
それが今の私の、幸せの値段である。

注文をすると、ああ成程これは使えなさそうだと思える見た目の味玉が出てくる。私はそれが腐ってなければなんでもいい。美味しくそれを食べて店を出て、これまた夜中までやっているタチの悪いスーパーで飲み物とおやつを買う。台風の影響で生鮮食品は売り切れているが、コーラもジンジャエールもウィルキンソンの炭酸水も売っている。
私はコカ・コーラ、午後の紅茶ミルクティー、ウィルキンソンタンサングレープフルーツにチーズタルト、ついでにハリボーグミを購入した。
台風が過ぎ去ってからまた随分と涼しくなった。私はいつも社会の底辺を彷徨っているが、社会も世界も前進し続けている。夏を通り過ぎて秋へ足を踏み入れ、じきに冬が来る。私の人生と同様に四季は全てクソであるが、私は涼しい方が好きだ。しかし私が好きなものを皆さんが好きとは限らない。私だけの話かもしれない。涼しくなると睡眠時間が伸びてしまう。

小説『不実の桜』はWW2太平洋戦争末期をイメージして書かれた作品です。三日に一度更新です。

小説『ソルジャーズ・レビュー』は今頑張って書いています。書きます。頑張ります。頑張っています。頑張っているんだってば……

小説『向日葵の恋慕』は……その。ソルジャーズ・レビューが終わってから書きます。

またそれ以外に二本ほど小説の構想を練り練りしており、一本は何処かの有名な賞に出したく、またもう一本は完成すればカクヨムに投稿されます。

近況ノートが何のために作られているのかは全く理解出来ませんが、概ねそんな感じです。



……ところで膵臓の辺りが痛いんだけど、大丈夫かお前?

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する