守らないといけない証言

 京は、先斗町の置屋にいた『市駒』さんが舞妓の実体を告発した。

「当時16歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい(7/12(火) 6:01配信 FLASHより)」

 この記事を見てすぐに思い出したのは相撲部屋の「かわいがり」だ。

 「時津風部屋力士暴行死事件」では、元15代時津風こと、山本順一氏は懲役5年の判決を受け、服役中に癌を患い64歳で亡くなったそうだ。
 亡くなった人を悪し様に言うのはこの国のたしなみに似合わないが「因果応報」という言葉を思い出す。

 こんなことはたった一つの部屋で行われているだけだと考えるのは如何にも思慮に欠ける。

 ゴキブリは一匹見つけたら30匹は巣くっていると覚悟しなければならない。

 だったら相撲部屋の腐敗は30部屋に及ぶだろう。

 同じように、ひとりの舞妓さんが性を恣にされそうになったなら、30の置屋では実際に陵辱され、その被害は京のみならず、熱海や箱根に及ぶだろうと考えるのが常識だ。

 彼女にはこれから大なり小なりの迫害が待っているだろう。

 伝統なんて、煌びやかなものほど、ドロドロとした下地の上にほんの一握りの栄光が輝いているに決まっている。

 栄光の座は、二人や三人で座れるほど大きくない。

 それでも、この子は立ち上がったんだ。

 悪しき伝統を告発したんだ。

 何十人、何百人という舞妓さんのなかから声を上げたんだ。

 良識ある大人は、考えなければならない。

 舞妓という伝統は、安っぽい性風俗から取り除いても続くはず、いや、安っぽい性風俗を求める客から遠ざけなければならないはずだ。

 ヴァイオレット・エヴァーガーデンは相変わらず大好きな一級品のアニメだけれども、その感想の中に「ギルベルトといい、どこかの国の王子様といい、ローティーンに愛をよせるのが真っ当なの?」というものがあった。

 アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」はそういう世界観を前提に楽しむべき作品だと思うけど、嫌がる舞妓さんに性風俗を提供させる大人たちが報告されて、「ああ、この感覚か」と気が付いた気がする。

 良識のある大人は、この子が安穏と暮らせる世界観を、舞妓さんが芸事の提供で真っ当な賃金を得られる世界観を、現実のものとして守らなければならない。

 そーゆーことしたければ、そーゆーおみせでどーぞ。

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