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『©ダブリ』第10話までのお話

こんにちは。
なのるほどのものではありませんが、私です。
連休、病に伏す『©ダブリ』作者です。

毎度のことですが『©ダブリ』第10話まで公開しましたので
10話の「あらすじ」と「あとがき」を書いておきます。


第10話:『愛されたかった子どもたちは』

【10話のあらすじ】
 楓が国光から逃走した。十二名の死者と一名の行方不明者を出して。
 そんな中、マツリは眼が覚めると家の中の異常な雰囲気に気づく。血の匂いと、人の気配。マツリは昔の惨状を思い出し、思わず例の廃工場へと逃げ出してしまう。
 しかし、廃工場にやってきたのはマツリだけではなかった。楓がマツリを追うように現れ、マツリを追い詰める。そこへメグも駆けつけ、マツリを傷つけようとする楓を止める。
 二人のブラックカルテが対面し、お互いの化け物を出現させると化け物を使っての争いを始める。メグはマツリを守るため、楓はメグとマツリを殺すため。二つの化け物がおぞましい戦いを繰り広げる。
 そんな光景を目にしながら、メグの思いを耳にしながらマツリは消し去っていた記憶を取り戻す。――『感情を食べる化け物』をメグを、楓を思い出す。そして取り乱す楓に、呟いてしまう。
 「どうして楓は、自分を……好きでいられるの?」
 自分に向けられた『嫌悪』を糧として、嬉々と化け物を操る楓への純粋な疑問だった。母親に憎まれた自分を、マツリが一番憎んでいた。問わずにはいられなかった。
 しかし、それは楓の心を完全に壊してしまった。思い出したように、自分を憎み、自分への嫌悪の感情を爆発させる。
 その結果、楓は暴走した自身の化け物の牙によって食い殺されてしまったのだった。


【あとがき】
サブタイの『愛されたかった子どもたち』とは、マツリ、メグ、楓のことです。三名が三名とも、子供の頃の出来事に深い傷を負い、少なからず歪んでしまいました。この子たちが出会った結果、引き起こされた化学反応の結末は悲しいものになってしまいました。
以下、三名についてちょっと、解説というか……語ります。

◆マツリ
マツリは母親からの虐待で、他人に期待することをやめてしまいました。自分にも他人にも『無関心』になることで、自分を守ってきました。
けれどメグに会い、「許された」と感じたことで、他人への『感度』が上がり、人間としての『強度』が損なわれてしまいました。その結果が現実からの逃亡――記憶喪失でした。
彼女の脆さは正直、まだ解決していません。それでも、身を挺して自分を助けに来てくれたメグを「もう一度信じよう」と感じたことで、なんとか記憶を取り戻すことができました。彼女の成長については、もう少し時間がかかります。

◆メグ
メグは「あそこ」と呼ばれる国光の病院で、随分トラウマティックな目にあっていました。だからこそ同じ目にあっていた楓のことは、実は一番よく分かっていました。彼女に同情もしていたし、「楓なんかより自分の方がひどい目に合っていた」という気持ちもありました。
だからメグ自身、楓との決着をどうすればいいのか分からないままマツリを助けに入り、最悪な結末を迎えてしまいます。
マツリとメグが子供のようにお互いを手繰り寄せあって泣いたあのシーンは、『人を死なせてしまった自分の傍には誰もいなかった』という過去の経験を取り戻す儀式でもありました。楓の死を悲しむというよりも、お互いに『子供の頃の自分を慰める行為』だったのです。

◆楓
ひたすらに痛ましい子でした。愛情を注いてもらったことがないため、自分への『嫌悪』を感じない相手にはどっぷり依存しがちです。持ち前の愛嬌や可愛さもあって、傍から見ると彼女の狂気はただの「小悪魔」にしかみえなかったでしょう。
楓は『お父さん』と呼んでいた国光の人間、椎名……と、特に大人の男性に依存していました。彼らから愛情を一身に浴びたくて必死です。彼らの関心が同時にマツリに向けられた(ように感じた)ことが楓の感情を逆なでしてしまいました。
彼女の行動原理はただただ『愛されたい』という思いです。それが引き起こした結果がひたすら痛ましい……。そんな結末になってしまいました。

長く語りすぎました。第10話は思うところがたくさんあって、改稿作業もかなり気合を入れました。

twitterにたくさん絵も上げました。
モーメントにもまとめているので、もし良ければご覧ください。
https://twitter.com/i/moments/1009827900785229825


読んでくださりありがとうございました。
今後とも『©ダブリ』におつきあいくださいますと幸いです。

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