引き続き、先日の小説のテキストマイニング&統計処理について。
その前に、今後の創作の自動化の行く末について優れた考察が展開されるカクヨム小説を紹介したい。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880364753手書きからワードプロセッサへ、ワードプロセッサからアウトラインプロセッサや各種シナリオツール、Scrivenerなど創作補完ツールの進化は止まらない。個人的にはこの小説に描かれたような世界が来るのは目前、という気がする。
究極的には創作ツールにAIの導入は不可避だし、そのあたりの創作者たちの身の振り方も描かれていてリアル。啓発要素を満載にしつつも小説としての骨格はしっかりしていて面白い。この小説はもっとたくさんの人に読まれてもいいと思います。自分がレビューを書いたからではないけれど、お勧めです。
さて、
「数字が明かす小説の秘密」ではファンフィクション(いわゆる二次ね)についても分析していて、結論から言えば、どうしても二次創作者の色が出てしまうものらしい。原作に忠実に書いたつもりでも原作の指紋までは似せるのが難しいようだ。
ならば、事前に原作者の「小説の指紋」を綿密に分析していれば、二次小説もより自然に、より原作に酷似した作品を創作できる、のではないか。そういった要求が潜在的にあるならば、必ず手を付ける者が現れるはず。
セルバンテスの「ドン・キホーテ」も漱石の「猫」もおびただしい類似小説を生み出したが、歴史の試練に残ったのはオリジナルだけである。歴史上の二次創作者は敗れ去った。
しかし、強力な演算能力を持ったツールで二次を手がけたら……オリジナルに迫る、「市場が望む作品」が生まれてしまうかもしれない。