手前が初めて「因果」という言葉を耳にいたしましたのは、やはり時代劇で、見世物小屋の呼び込みが、
「親の因果が子に報い、生まれ落ちたるこの子どもぉ〜」
などと述べた口上だったように思います。
その当時は「いんが」が何かよくわからないまま、その口上だけを面白がってまねしておりました。
NHKの人形劇「新八犬伝」だったと思いますが、ナレーションで何度も坂本九さんがおっしゃっていた「巡る因果は糸車」も、糸車が何かよく知らぬままに、これも面白がってまねしておりました。
昔は、「因果応報」「勧善懲悪」二つながら時代劇の柱になっていましたけれど、昨今の小説、映画、ドラマなどではあまり流行りませんようで、そんなものは、日本人からとっくに失われているのやもしれません。
でも、この世の因果が巡るなら、いずれ時代劇も往時のごとく盛んになるのではないかと、儚くも密かに思う今日この頃でございます。