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『光る君へ』で近況ノート(15) 「この世をば」

 皇后娍子は、三日月を「美しい月ですよ」と目の見えない三条天皇に語っていました。三条天皇は、自分の思いをどのくらい叶えることができたのでしょうか。心の中に描かれた美しい月はどんな形をしていたのでしょうね。
 私は子どものころから三日月が好きでしたので、大きく欠けてはいても三日月をとても美しいと思います。

 一方道長は欠けることなき満月を見上げながら

  この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることもなしと思へば

 と歌いました。私は『千年草子』をこの歌から始め、この歌で終えました。

 二か月後、定子が生んだ一条天皇の第一皇子敦康親王が世を去られます。

 「この世をば」の歌にはいろいろ解釈があると思いますが、『光る君へ』では登場人物の微かな演技にそれぞれの解釈があり、ドラマとしては解釈をしなかったところに良さを感じました。

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