「近況を近況ノートに書いてみる」というタイトルを以前、一度もう使っている。
あやうく、また書くところだった。
「それ、前にも使っていますよ!」
と指摘されたら恥ずかしい。いや、別に恥ずかしがることはないのではないか。「その2」とでも付けておけばいいのだし、「ご指摘ありがとう!これからも応援よろしくネ!」なんて書いておけば、好感度がアップするのでは?
それはともかくカーヴァーの「大聖堂」を読み直したら、意外なほど以前の印象のままだった。「大体こういう話だったよな」という、そのまんまである。読み返したり見直したりするとガラッと印象が変わる作品もあれば、こういうケースも結構ある。
それからO.ヘンリーの「赤い酋長の身代金」も読んだ。これは以前も面白かった。そして、今回はそこまでではないがやはりユーモアがO.ヘンリーらしくないほど冴えている。一般にこの人の作風は「最後の一葉」にしても「賢者の贈り物」にしても要は「思いやり」がポイントなので、書いている本人もそんな感じの人だろうと思いがちである。しかし、この人は刑務所に服役していた時期もあるほどで、世の中の裏も表もよく見ているようだ。
さらに、前後の脈絡がないが有吉佐和子の「華岡青洲の妻」も読んでいる。有吉佐和子といえば「テレホンショッキング」に居座った事件が有名、と言いたいところだが、これも今の若い人~四十代くらいまではもう知らなくて当然である。ところが作品は今でも結構、ネットでは熱い感想が目立つし評価も高いのである。
女性らしい柔らかさと、社会派風のかっちりした面を兼ね備えた文章で、表面は硬く見えるもののスピード感があって読みやすいので、これは読書会に向いているかもしれない。