自分がカクヨムで書いている短い小説には、主に二つの傾向がある。一つは奇想的なもの、変な発想によるもので、もう一つは多少変な話ではあるけれども、筋の起伏が乏しくて平板な、大人しい傾向のものである。
しかし最近は、読む側の立場としては「奇想」を主にしたものはさほど読まなくなっていて、読んでもさほど興味が湧かない。年末のベスト本の選出を読んでも、ノンフィクションの方が面白そうに見える。
映画やドラマの場合は完全に「奇想」を扱ったものが減っているので、主に観るのはスリルやサスペンス性の強いものである。ヒッチコックとか「24」とか。今年DVDで観たものでいうと「バニー・レークは行方不明」とか「ゲット・アウト」とか。
押見修造の漫画「悪の華」の最初の方をいま読んでいて、これも外見としては少年漫画だが、内実はサスペンスとかスリラーという分類枠に入るような話である。「悪魔のような女子に弱みを握られた男の子は、天使のような女子との恋を成就できるか?」という話なので。
それほど好きなら少しは自分で何か思いつきそうなものだが、これといって良いアイディアがない。この種のジャンルは映像とか漫画に向いている題材で、小説には不向きなのだろうか。しかしヒッチコックなんかだとほとんど原作は小説だし、一概に決めつけることもできない。ゾンビ物は小説で結構あるし。