たまには心の温まる本を読もうと思って、動物に関するアンソロジーを読んでみたら、戦争中に動物園の動物を殺す話が出てきてしまって、かえってぐったりした。
毒餌を食べない動物はこうやって殺しましたとか、知りたくない話をかなり知って、参っている。
しかし、ミステリで人が死んでもあまり心が痛まないのに、動物実話となると激しく心が痛むのはなぜなのか。
ミステリといえば、こういう状況下で「いかにして殺さずに動物を解放するか(あるいは秘密裏にどこかへ逃がすか)」といった謎や不可能興味で読者の興味を引っ張れないものかと考えてしまった。
実際には多くの動物が殺されたので、いわば鎮魂としてそのようなフィクションがあってもいいのではないか。
と思っていたら山田太一の「異人たちとの夏」がイギリスで映画化されたというニュースを見た。あの話も、今は亡き両親への鎮魂の話である。
そして「エルシノア城の~」も、死ぬことを運命づけられている人が、運命の軌道を外される話である。これも鎮魂の物語といえるかもしれない。
来週はいよいよ大詰めで、木曜日までに第五章が終り、金曜日からは終章となります。
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