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ほぼ拷問

またもや読書会の本が退屈で、今度は文章そのものを読むことはできるものの、内容が何というか、自分がおじぎ草になって、おじぎして、萎れて、しなびて、枯れて、倒れてしまうような、ほぼ拷問に近いような退屈さなのであった。

思うにミステリとかSFの場合、何らかの事件なり異変なりアイディアなりが“必ず”含まれるという保証のようなものがあるのに、純文学だと平気でそれがないというのは大した差である。

人物は魅力がなく、状況はありきたりで、会話も文章も平板、それでも何かしら筋のようなものがあれば読めるのだが、食肉加工の工場で働くアフリカ系難民の女性が語学の学校に通っていて、友達の赤ちゃんが亡くなったという話がたらたら書いてあって、良さを探すのも難しい。

一つだけ褒めポイントを挙げると、途中で小説の文章ではなくて「手紙」あるいは「メール」そのものが挿入される。これは多少のメリハリを生んではいるが目新しい手法というほどではない。しかしメールのない時代にメールのやり取りを行っていた、というナンセンスな設定を考えれば、そのヴァリエーションをあれこれ考えることはできそうである。確か「世にも奇妙な物語」で「携帯忠臣蔵」という回があった。

http://yonikimo.com/206.html

4件のコメント

  • またエラくバッサリと(笑

    私も好みではありませんが、人気はありそうな話ですよね。未読ですが。
    退屈だけど、安心して感動できる、そんな話の需要は昔から高いのかな、とは思います。
    アイデアやイメージを注ぎ込む目さんのような作家さんには、確かに疑問符しか湧かない系統なのかも。
    私も好きじゃないけど(二度言う)。
  • まだ前半しか読んでいないのですが、後半で感動できるかどうか自信がまったく持てないです。「主人公に魅力がない」というのが致命的な欠陥だと思うのですが、読む本読む本、どれもが魅力的な主人公かというとそうでもないですよね。主人公は単なる平凡な人物で、単に視点だけでもいいとすら自分は思っていますが、それはやはりアイディアがあっての話なので、純文学でこれはしんどい。しかも純文学的な粘りや重みや個性のある文章でもないです。ライト文芸という感じで。

    ちなみに「さようなら、オレンジ」という作品名で、そのタイトルすら「さようなら、コロンバス」「さようなら、ギャングたち」「さようなら、パステルズ・バッジ」と三作も先例が思いつくので、褒めるのが非常に難しいです。かといって貶すのも嫌なので、弱りましたなあ。
  • 荒筋を読んで、書評も読まなかった本です。
    ただ、かなり評価が高くて、いくつも受賞しているので、どんなものかは気にしていました。
    今回のノートを読んで、これは手を出さないでおこう、と思いましたよ。

    純文学というと、カフカの短編で「父の気がかり」というのがあって、昔から凄く好きなんです。
    目さんの作品からも、たまに似た臭いを感じます。

    ついでに、クーンツは書きたくとも、今のところ挑戦もしてないです。
    色々と書き散らしてるのに近くて。
  • 私も「太宰治賞!」「大江健三郎賞!」「芥川賞候補作!」という肩書きには多少の期待を持ちましたが、結論をいいますと期待した自分が愚かだったとしか……(前半を読んだ限りは)。

    「父の気がかり」は純文学というより、あらゆる文章表現の中でも群を抜いてエポック・メーキングな神品すぎて畏れ多いです。落ちがない系の掌編は、どうしてもああいう味わいに近くなりますね。

    クーンツはちょっと真似しにくいと思いますね。カフカの方がテイストとしてはコピーしやすいです(私としては)。
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