「家族の物語 掌編小説」を含む小説

祖母の死をきっかけに訪れた安置室で、久しぶりに向き合う「記憶」と「静けさ」。 子どもの頃、祖母がいつも用意してくれたミックスゼリー──その小さな甘さが、 今はもう触れられない手の…

小学二年の冬、母は弟の名前だけを呼んで家を出ていった。 置いていかれた私の人生は、“可哀想”ではなかった。 跡取りとして選ばれた弟と、選ばれなかった私。 母に似て、淡々と受け入れ…

梶野カメムシ氏主催の自主企画「〘蠱読〙十倍盛り〜1400字お題小説〜」参加作品……のつもりが、到底1400字に収まらないのが判明して、いったん熟成させたのち（つまり何か月か放置…

「ねえ、トモくん」 そう呼ばれた日から、僕は僕じゃなくなった。 十四歳に戻ってしまった母。 僕を“彼女の彼氏”だと思い込んだまま、時間だけが止まっていく。 名前を奪われた少年…

だんまりを決め込む父、祖母との関係に疲れてしまった母、それを見つめる娘の私。老いた祖母をとりまく、いびつな空気に侵された、壊れゆく家族の物語。