「ノスタルジー」を含む小説

毎年恒例の夏祭り。たこ焼き屋台の鉄板の前で、俺は今年もまた“あいつ”と並んで焼いている。 受験だとか将来だとか、答えの出ないモヤモヤを抱えたまま、気づけば同じ場所、同じ会話、同…

何処からか、歌が聞こえてくる。 紫色の砂漠、桃色の空。眩しくない太陽が照らす世界が異様であることを、怪物は気付くことが出来ない。いつからそこに居るのか、どこからやって来たのか。そ…

　昭和54年、通天閣のお膝元、大阪・恵美須西。人情とソースの匂いが染みつくこの町に、一軒の不思議な駄菓子屋があった。その名も「まぼろし堂」。店主のフミばあと、番台でふてくされる三…

閉店間際の喫茶店で、画家・真壁が出会ったのは、珈琲を「夜空の色」だと語る幼い少女。彼女が指し示す誰もいない席には、白いワンピースの女性の幻影が…。日常に潜む小さな不思議と、心に触…

しょせん、初恋なんてすれ違って、過ぎ去っていくもの──。 でも、あのとき詩に綴った「好き」だけは、今も胸で息をしている。 恋は憧れ、愛は育てるもの。 そんなふうに思える日が、きっ…

真夏の午後。 暑さと汗にまみれて男子更衣室に向かった僕は、そこで“予想外の気配”に出会う。 誰もいないはずの場所、揺れる布の向こうから聞こえてきたのは──。 ほんの数分の出来事…

お題３０９番の短歌の『花屋のあの子は花粉症』内容と一致しているので、掲載(参加)しています。 「えっくちゅ……っ」には、秘密の愛が詰まってるってな！！

【甲子園】 解説：当時中学生だった私の脳裏に残るワンシーン。散髪してもらっていた中、ゲームセットの瞬間を鏡に映ったテレビで見た。 【バド部の校内戦】 解説：人生で一回だけ経験し…

遊び相手を奪っていく「習い事」に憤慨する小学生。しかし、高学年になり、かっこよさを身にまといたいという浅はかな動機から、自らも習い事に手を染める。遠い日の思い出のお話。 ※一話…

赤い夕焼けに包まれる校門の前。 僕は夕凪さんを待ち続けた。 ポケットの青いハンカチは、僕たちの過ぎ去った青春の証。 きっと夕凪さんが来てくれることを信じて。

二人は、言葉を重ねる必要がなかった。互いの目を見つめるだけで、彼らの魂が、かつて結んだ遠隔作用の縁を、はっきりと認識し合っていた。駅のホームでのささやかな触れ合い、すれ違った大学…

社会に出たばかりの23歳の「俺」が出会ったのは、 誰よりも不器用で、誰よりも誇り高く働く、年上の男だった。 口数は少なく、写真にも残らず、 だけど誰よりも深く、人の心に爪痕を残…

「賢治、悪いが今度の週末、付き合ってくれ。」 僕とじいちゃんとの小さな旅 でもそこで語られたのは、じいちゃんたちの過去 若かったじいちゃんとばあちゃん。そして一人の女性、メアリ…

実家の整理中に見つけたCD。そこに貼られていたシールを見て蘇る思い出。あの頃、円盤石を集めたブリーダーたちに贈る甘酸っぱい初恋の物語です。