イケてるメンズを表すイケメンという言葉ですが、最近は、イケメン女子というような使い方もされるようになってきました。イケ女ンという言葉もあるようです。つまり、イケメンに性別は関係ありません。言葉の意味は、時代と共に変化していくものなのです。
イケメン女子が出てくるアニメや漫画も近年増えたように思います。格好いい女性が活躍する物語っていいですよね。
イケメン女子が出てくる小説ももっと増えてほしい! そんな願いを込めて、魅力あふれるイケメン女子が活躍する作品を紹介します。謎解きやバトル、捜査に護衛まで、様々なジャンルの物語を舞台に、様々なタイプのイケメン女子が活躍します。ぜひ、イケメン女子の素晴らしさ、尊さを堪能してください。あなたの好きなイケメン女子がきっと見つかるはず!

ピックアップ

男性不信の女性刑事が暴く、連続殺人事件の全貌とは――

  • ★★★ Excellent!!!

複数の女性との間に悪い噂のあった男が次々と殺されていく事件に、男性不信の女性刑事である速水と、ベテランの男性刑事、槙原が挑むミステリー。

2人の刑事のバランスの良さ、次々に現れる手がかり、捜査の進展のスピード感、緊張感のある展開。
書き出しから終わりまで、一貫したリーダビリティの高さに、時間を忘れて読みふけってしまいました。

事件の背景と、速水が抱える暗い過去が上手く絡められていて、物語にのめり込みやすくなっている点も素晴らしかったです。

最初はクールに見える女性刑事の速水ですが、読み進めるうちに、心に熱いものを秘めていることがわかってきます。
特に、呼吸を忘れてしまうくらいに緊迫感が漂う、犯人逮捕直前のシーンがとても印象的でした。
刑事として。人として。正義とは。悪とは。
そういった色々なことを考え抜いた末に、彼女が選んだ行動に心を揺さぶられます。

本当の意味での事件の真相は、非常に闇が深く、重いものでしたが、色々と考えさせられるような、とても心に残る作品でした。


(「イケメン女子が大活躍する話」4選/文=蒼山皆水)

夢破れた元舞台役者、令嬢の影武者になって辺境伯と婚約する!?

  • ★★★ Excellent!!!

舞台役者だったロザリーは、父が遺した劇団を再建するため、政略結婚をすることになった侯爵令嬢であるフロレンツィアの影武者をすることに。
しかし影武者であることを、婚約相手である辺境伯のルートヴィッヒにひと目で見抜かれてしまいます。
その上、誠実で紳士的でたくさんの人から慕われている完璧な領主であるはずのルートヴィッヒは、なぜかロザリーにだけ意地悪をしてきて……。

主人公のロザリーがとにかく推せる!
強くて華やかで、本当に素敵な女の子です。
特に戦闘シーンのロザリーがめちゃくちゃカッコいいです!
さらに、ルートヴィッヒに翻弄されてあわあわするシーンもあり、そのギャップも最高すぎます!

また、辺境伯と偽物の婚約相手だったルートヴィッヒとの関係が、お嬢様と使用人だったフロレンツィアとの関係が、物語中でどう変わっていくか……という部分も、本作の見どころの1つです。

徐々に明らかになっていく、ルートヴィッヒの悲しい過去。忍び寄る悪意。恋の行方。
読み進める手が止まりませんでした。
綺麗なエピローグも完璧で、最初から最後までしっかり楽しめる作品です!


(「イケメン女子が大活躍する話」4選/文=蒼山皆水)

女子大生との同居から始まる、すこし不思議で温かい物語

  • ★★★ Excellent!!!

目が覚めると猫の姿になってしまっていた男が、女子大生に助けられ、なぜか同居することに。

タイトルにもあるように、クール系タラシヒロインの昴がとても素敵です。
冷静だけど行動力があり、記憶を失って戸惑うハチに寄り添う優しさも持ち合わせています。ぐいぐい引っ張っていってくれるところが格好良すぎます。
フィクションっぽさが薄く、とてもリアルな魅力にあふれていて、私も読んでいるうちに、彼女にすっかり心をつかまれてしまいました。

ハチは昴に協力してもらい、夜の8時に猫になってしまう現象について調べていきます。
なぜ猫になってしまうのか。
どうすれば完全に人の姿に戻れるのか。
魔女とは。契約とは。
そして――ハチはどんな人間なのか。
色々な謎にあふれていて、その謎が少しずつ紐解かれていく過程を楽しむことができます。

たくさんのドキドキと癒しを味わうことができ、最後は温かい気持ちになれる作品です。


(「イケメン女子が大活躍する話」4選/文=蒼山皆水)

蝕む絶望に理想の矢を! 青春異能SFバトルアクション

  • ★★★ Excellent!!!

人々の〈可能性〉を守るため、高校生の零矢が幽体となり〈アストラル界〉で謎の生物〈夜蝕体〉と戦うSFバトルアクション。

設定がとてもよく練られていて、文章もすっきりしているので、しっかりと物語に没入できました。

また、強くてカッコいい女性がたくさん登場する点も本作の魅力です。
序盤で零矢を助ける美少女、ノフイェは、零矢が〈夜蝕体〉と戦う組織に所属するきっかけにもなります。文章からオーラが伝わってくるくらい存在感のあるキャラクターです。
幼馴染の葉叶は、くじけそうになる零矢の背中を押してくれたりと、とても頼りになる存在です。物語後半では、葉叶の想いだったり、過去だったり、その辺りが明らかになって、読者の胸を打ちます。彼女のことをますます好きになってしまうこと間違いなしです!

他にも、圧倒的な強さを誇る歴戦の強者であるエクレシアや、過去に大切なものを失って、それでも前を向いて生きる聡子など、守りたいもののために戦う女性がたくさん活躍します。みんなそれぞれ本当に素敵です!

ダークな雰囲気もありながら、とてもポジティブな物語で、読後感も非常に良く、頑張ろう!という気持ちをたくさんわけてもらえる作品でした。


(「イケメン女子が大活躍する話」4選/文=蒼山皆水)