皆さん、ご飯は毎日しっかり食べていますか? 朝ごはんは一日の活力、昼ごはんは一日の癒やし、晩ごはんは一日のご褒美です。重要な出来事がある日は勝負メシで気合を入れたり、頑張った日はちょっとお高いスイーツをお土産に買ったり、休みの日には友人とお酒と料理を楽しんだり、食欲がない日でもご飯を一口、パンを一切れでも食べると、なんだか頑張れそうな気がしてきます。食事は生活の根幹で、誰しもが共感できる喜びです。そんな食事を今回はテーマにした作品を集めてみました。私は小説を語るときに料理をよく例に出します。辛いとき、苦しいとき、悲しいとき、そんなときこそ美味しい料理を食べて元気をもらうように、心が苦しいときに物語の世界に癒やされることもあります。皆さんにも小説と料理で明日への活力を得ていただけたら嬉しいです。

ピックアップ

焼き肉は明日への活力! 世界最強のおっさん焼肉屋を開く

  • ★★★ Excellent!!!

 地下に広がるダンジョンへ挑みに冒険者が集う巨大都市ウルグイン。街、唯一の焼肉屋『焼肉ゴッド』の店長カンザキは人知れずダンジョンを踏破し、封じられた魔王を倒した英雄だった。非常識な強さを持つ店長が営む焼肉屋で巻き起こるドタバタ日常劇です。

 かつて世界を救ったおっさん、カンザキの願いは毎日頑張って生きる人々に活力を与えること。

 店で出されるメニューは、すべてカンザキが自らダンジョンで仕入れたミノタウロス、オーク、コカトリスなどのモンスター肉の数々。さらには王族すらも滅多に口にできないドラゴンの肉までこっそりと供される。

 技術も作法もいらず、ただ鉄板の上で肉を焼き、タレをつけて食らう。焼き肉とは、それだけで最高の食事だ!

 今日も『焼肉ゴッド』の店内はダンジョン帰りの冒険者や、仕事終わりの職人ドワーフ、近所の常連たちで満員御礼。

 そんな今の生活に満足しているカンザキだが、隠れた実力を誰もが放っておかない。王女や女勇者や、美女美少女が次々と現れ、否応なしに大騒動に巻き込まれていく姿が可笑しいグルメ無双ファンタジーです。


(「グルメ特集」4選/文=愛咲 優詩)

この味は罪深い! 美少女シスターがいく美食の殿堂

  • ★★★ Excellent!!!

 美味しいものに目がない美少女シスター・クリスが巷で話題の絶品料理を食べ歩くグルメ探訪記です。

 普段は敬虔なシスターとして神に奉仕し、ときには冒険者と協力して魔物と戦うシスター・クリスですが、教会の質素な食事だけでは彼女の食欲はおさえきれない!

 美味しい料理の噂を聞きつけては、こっそりと教会を抜け出し美食という罪を重ねます。

 下町食堂の人気チャーハン、喫茶店の熱々キノコグラタン、お祭り屋台のたこ焼き、港町のとれたて海鮮丼、洋食屋さんの肉汁滴るハンバーグ、メイドカフェのハニートースト……、それぞれの店の自慢のメニューに舌鼓を打つシスター・クリスの姿が食欲をかきたててお腹の虫が鳴りやみません。

 ただの飯テロ描写だけではなく、その料理の裏に隠された料理人たちの人間ドラマが描かれることで、この作品に人情味という隠し味が加わります。

 美味しすぎる料理はその存在自体が罪深い。貴方も美食という誘惑を、味わってみてはいかがでしょうか?


(「グルメ特集」4選/文=愛咲 優詩)

さて今日は何を食べようか。自由気ままな男子高校生の食事事情

  • ★★★ Excellent!!!

 仕事で忙しく世界を飛び回る両親によって長年一人暮らし状態の男子高校生・一条春都の一番の楽しみは食べること。

 ごく普通の高校生として高校へ通学し、仲の良い友人と喋り、授業を終えて一日の疲れとともに空腹を覚えて帰宅する夕暮れ時。その日その日に自由気ままに食べたいものを作って食べる。

 からあげ、生姜焼き、カレー、ミートソーススパゲッティ、オムライス、炊き込みご飯……日常的で飾らない素朴な料理の数々に共感を抱きます。

 ときには友人のためにお弁当をこしらえてみたり、たまに自宅に帰ってくる両親のために腕を奮ったり、インスタントラーメンやフライドポテトのようなジャンクフードを夜食につまんだり、何気ない日々の食事風景に日常の幸福を感じます。

 贅沢な外食などせずとも、好きなときに好きなものを好きなように食べる、それだけで身も心も満たされる。

 平凡な毎日の食事が、かけがえのない特別なものに思わせてくれる一作です。


(「グルメ特集」4選/文=愛咲 優詩)

あの娘に食べさせたい一皿。冴えない自炊男子の女心を掴む絶品レシピ

  • ★★★ Excellent!!!

 29歳の冴えないサラリーマンの片岡樹は年齢=彼女いない歴の独身男だが、彼の自炊弁当は職場で噂になるほどの料理上手。ある日、彼のアパートの隣の部屋に美人女子大生・前田智里が引っ越してきて、料理を介した交流が始まります。

 お人好しで押しに弱い、草食系男子な樹ですが、実は職場の評判は上々で女性社員からのウケも悪くない。それにも関わらずこれまで浮いた話がないのは、女心にうとい鈍感な性格が原因だった。

 そんな樹がお隣さんの女子大生の智里に恋をした。仕事中も智里のことを考えて作業も手につかず。肝心の料理にすらも身が入らない。

 恋愛下手ゆえに思い悩む樹だが、自炊料理のおすそ分けをきっかけに交流が始まり、次第に智里の側も樹のことが気になっていく。

 しかし智里も同じくらいに好意に鈍感で、「恋人がいる」と勝手に勘違いしてすれ違う両片思いな二人がもどかしくてたまりません。

 料理で意中の相手の胃袋とハートを射抜けるのか、冴えないサラリーマンの料理作りはまだまだこれからだ!


(「グルメ特集」4選/文=愛咲 優詩)