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大人な恋愛ってしたことありますか?ちなみに担当は残念ながらそのような経験はなく、ただあこがれのみ……。そこで、「せめて小説のなかで疑似体験してやる!」と読み漁っていました。
大人らしく、スマートな言動の裏に隠された想いに切なくなったり、大人だからこそこじれていく関係にやきもきしたり。どの小説も恋愛の酸いも甘いもひしひしと感じられる作品ばかりです。
甘々胸キュンだけじゃない、ちょっぴりビターな大人の恋模様。
皆さまもぜひご堪能ください!
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ハッピーエンド好きを公言する私はこういう話はいつも避けてしまいがちだけれど、作者さんの他の作品のファンだったので、敢えて踏みとどまってみた。 ルンルンと明るい恋ではない、ここには、愛と言う不思議な生き物に釘を刺されたまだ若く危うい魂が転がって居る。ちょっと心が痛い、だけど、目を反らせない。
いつだって、愛ってものは理屈を超えて、理性なんて飛び越して人間を翻弄するもんだよ、と どこからか呟く声が聞こえる。
夏のひととき、大人の愛の世界に足を踏み入れてみたいに人におススメです。
結婚式前夜にかつて一緒に暮らした男のもとへと訪れる。
背徳的な設定に釣られて読んでいけば、少しずつ明かされていく二人の関係性と、言葉のやり取りがとても素敵でした。
ウミガメのスープを巻き込んで、最後の二人の姿とても印象的です。
以前、某所でレイ・ヴクサヴィッチの『セーター』という作品について語ったのですが──。
『セーター』についてざくっと説明致しますと、その日は彼──ジェフリーの誕生日。ジェフリーは恋人であるアリスからプレゼントされた手編みのセーターを彼女の前で着ようとするわけですが、襟ぐりがきつくてどうにも頭が出ない。
いつのまにか──セーターの内部には未知なる空間が広がっていて。ジェフリーは懐中電灯を片手に、そのひどくだだっ広い空間を探索する──というお話であります。
──どういうこと⁉ という声が聞こえてきそうなのだけれど、事実こういう話なのだから致し方なし。その後、落ちた懐中電灯を拾うのをきっかけに、アリスもまたテーブルの下という異世界に魅入られてしまいます。
この作品を私は「空間へのときめき、居心地への愛を描いた物語」であると考察したのだけれど。
件の作品──『あなたの肩の向こう側』もまた「空間へのときめき、居心地への愛を描いた物語」に近しいのではないかなぁと。
男女を問わず、パートナーの「自分だけを見ていて」という期待に応えるのは案外難しいもので。二人でお茶をしているとき、他愛ないおしゃべりをしているとき、睦みあっているとき。腕の中にいるときでさえ、ここではないどこかに魅入られていたりする。
もっとも、その「ここではないどこか」に思い馳せられるのは、あなたといるこの瞬間に他ならないのだけれど。
あなたの肩はブラックホールの入り口。
自分だけを見つめることのない、されどその居心地を、そこから見通せる景色を愛するあなたを愛おしく思えてこそ愛なのかもしれないなぁ──とあらためて。