大人になってから時間の進む速度の早さに驚きます。体感時間の早さは、年齢に比例して加速する。これを『ジャネーの法則』というそうです。学生のころは一日がとても長く感じたものです。大人になって仕事に忙しくしているとつい昔の気持ちを忘れてしまいます。そういえばバレンタインデーにも最近はドキドキしなくなりました。最近では気後れせずに堂々と女友達にせびったり、お返しをしたりしています。自分も変わったなぁ。というわけで今回はヒロインがドキドキさせてくれそうな作品を選んでみました。普段は忙しくされているみなさんも、バレンタインデーの1日くらいはゆっくりして大切な誰かの幸せを思い描いてみてはいかがでしょうか。

ピックアップ

黒き龍は正義の悪役! 地域密着型"悪の組織"はご近所の平和を守ります

  • ★★★ Excellent!!!

 正義の味方と悪の怪人が闘争を繰り広げる社会。明王町に本拠地を構える悪の組織「ブラックウィング」は、ご近所の平和を守る地域密着型の"自称"悪の組織だった。組織の最高戦力「ブラックドラゴン」である男子高校生の黒野龍馬は、ひょんなことから新米ヒーロー・ジャスティスプリンセスの正体が転校生の美少女・姫路綾乃であることを知ってしまい、正義の味方をクビになった彼女を組織へ勧誘することに……。

 悪の組織なのにやっていることは地元を守るヒーローというギャップが面白く、正義のヒーロー組織もお題目ばかりの正義を掲げる権益団体となって警察の信用を失っていて、ウィットに富んだ皮肉の効いた世界観に心動かされます。

 熱い正義感を持っている「ブラックドラゴン」黒野龍馬ですが、いわゆる鈍感系主人公。生真面目な性格で「普通の恋愛は自分とは無縁だな」と達観している黒野龍馬と、過去に窮地を助けられたことで密かに彼に憧れる姫路綾乃さんとの恋愛模様がじれったくてもどかしい!

 地元のために戦う真の正義の姿、何気ない日常に幸せを感じさせてくれる作品です。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

人間の想いは無限大! 空を翔ける乙女たちのSFレース

  • ★★★ Excellent!!!

 人間の思いを推進力に変える未来のエンジン「パルスリンクドライブ」。その技術を使ってアイドルたちがファンの声援を受けて大空や宇宙空間を駆け抜けるレースが「エリアル ザ スカイ フォーミュラ(ASF)」だ。

 ASFの新米選手であるラフィーは、生来のプライドの高さからスタッフと仲違いをしてチームが解散してしまう。そんな彼女に接近した中継屋の新城直人は、衛星立フランケン大学の研究室が開発した新型動力ユニットの提供を申し出る。だが、その新型機は安全性度外視のトンデモ実験機だった!

 金髪ツインテールでロリ巨乳のお嬢様ラフィーのがむしゃらな成長ぶりがいいです。最初はプライドが高いだけでマシンの操縦もロクにできない、推進力を提供するファンも皆無のまったくのド素人だった彼女が、直人の持ち出したトンデモ実験機と、特別コーチに技術と根性を叩き直されて、ようやくレースの端っこに手がかかって、そこから上位陣を脅かすダークホースへと駆け上がっていく! 泥臭いまでのシンデレラストーリーが熱いです!

 アイドルのように可憐な選手たちだが、その中身は生粋のアスリート! 虎視眈々と優勝を狙い、しのぎを削る美少女たちの真剣勝負に手に汗握ります!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

高嶺の花は食いしん坊? 料理男子とハイスペック美少女の学園ラブコメ

  • ★★★ Excellent!!!

 男子高校生・米倉昌彦は、16歳の誕生日に代々米倉家が継承し続けてきた異能に目覚める。それは、「運命の女性」が欲しているものが相手の顔に文字として現れるという不思議な力。その異能によって判明した昌彦の「運命の女性」は、全校生徒の憧れを集める才色兼備の生徒会長・秋田小町だった。

 学園一の高嶺の花として周囲から一目置かれる秋田小町ですが、中身は食いしん坊で、ごく普通に悩んだり、恋に夢見る女の子らしい一面が可愛いです。

 料理男子である昌彦の手料理にたちまち胃袋を掴まれてしまうところが実にチョロインで、いつも美味しそうに食べる姿が微笑ましくてニヤニヤしてしまいます。

 「運命の女性」であるとはいっても、昌彦のほうはお腹を空かして頑張ってる先輩に少しでも喜んで欲しくてという、下心を意識させないキャラに好感が持てます。

 順調に関係を進展させていた二人だが、もうひとり、現役アイドルをしている同級生が「運命の女性」として昌彦の前に現れて……。三角関係の予感にこの先の物語への期待感が膨らみます。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

田舎でスローライフ! 農家のおっさんは野菜と女の子の相手で大忙し

  • ★★★ Excellent!!!

 脱サラして田舎で農業を始めた20代独身男性の主人公。隣の家に住む可愛い女の子が、頻繁に話しかけてきたり、家に遊び入り浸ったりと、やたらと距離が近い! これは脈があるのか、それともただの男やもめのおっさんの願望なのか、若い女の子に振り回される主人公の懊悩が実に傑作です。

 ブラック企業で働くことに嫌気がさして農家に転職したものの、朝から畑仕事で野菜に水をやったり、肥料を盛ったり、雑草を抜いたり、仕事は山積み。ようやく日が沈んで仕事を終えても、地域の消防団の会合やら、飲み会につきあわされたりと、田舎暮らしは楽じゃない。

 そんな生活の潤いが、隣の家に住む可愛い女の子が頻繁に手伝いや遊びにくること、無防備な格好で漫画を読んだり、アニメを見たり、おしゃべりして帰っていく、そうして就寝する頃には、「今日もいい一日だったな……」と満足に浸る。

 とくに大きな事件や騒動は起きない、淡々と続く農村の日々が描かれるだけだが、そんなささやかな日常の幸せが愛おしいのだ。都会に疲れた人が想像する理想の生活がここにある。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)