お金の話をしましょう。誰もが大好きな話です。お金は社会の血液といわれるくらい私たちの生活になくてはならないもの。「お金に縛られた人生なんて嫌だ!」そういう気持ちもわかります。でもお金に振り回されないためにも、お金について知っておくのも大事です。ギャンブル、経営学、投資、商売。お金と向き合う仕事も形もさまざま。物語を楽しみながらお金について考えてみてはいかがでしょうか。ちなみにこれを読んでギャンブルや投資に挑んで大損をしても当方は一切責任を負えませんのでご了承ください。

ピックアップ

魔法のイカサマを暴け! 弱小カジノの一発逆転の秘策

  • ★★★ Excellent!!!

 事業に失敗した末に異世界に転生した青年・キン。行くあてもない彼は場末のカジノの経営者ジェスターに拾われ、従業員としてカジノ経営に巻き込まれていく。なんでもありのギャンブルバトルが興奮と熱狂を呼び、キンの悪知恵とイカサマにあっと驚かされます。

 二人が働くカジノ「ピエロ&ドラゴン」は、地元の常連客の憩いの場として飲食を提供しながら細々と経営する弱小カジノ。

 本来なら莫大な利益が出るカジノ業だが、魔法を使ったイカサマが横行する異世界では腕利きの魔法使いたちのいいカモになってしまっていた。

 試行錯誤の営業努力で店を切り盛りする二人だが、ジェスターの父親が残した借金の返済をせまる借金取りから土地と建物を守るためにギャンブルに挑むことに。

 魔法が使えないどころが、どんな魔法があるのかさえ知らない異世界人のキンが、毎回、圧倒的不利な状況から相手の思考を読んで、論理と数学、そして嘘とペテンで勝利を掴む逆転劇が痛快なのだ。

 一攫千金の夢と未来の可能性を掴み取るため、すべてを賭けて勝負に挑むギャンブラーたちの攻防が手に汗握る!

 キンがカジノのために作ったり、相手が挑んでくる未知のルールのカジノゲームも奥深く、自分も遊びたい! でも皆さんは、ギャンブルはほどほどに。

(「一攫千金」4選/文=愛咲優詩)

もし異世界の美少女店長が経済学の教科書を読んだら

  • ★★★ Excellent!!!

 大学生の黒羽夜一は、異世界へ迷い込んだ先でハーフエルフの美少女セルシアと出会う。彼女が営むよろず屋「ジャンク・ブティコ」は在庫を抱えて廃業寸前。たまたま鞄に入っていた経済学の教科書を頼りに経営の立て直しにとりかかる。小さな店の経営をきっかけに異世界に経済革命を巻き起こしていく展開にワクワクします。

 品数を減らしたのに売上アップ? クーリングオフで商品が返品されるのに満足度向上? 簡単なPOPのほうが客の心を掴む?

 いわれてみればコンビニやドラッグストアの売り場でよくみかける、一見、不利益とも思えるのに何故か売上げとリピーターが増えるビジネスの法則が興味深い。

 現代のコンビニをモデルに生まれ変わった「ジャンク・ブティコ」は、次々とヒット商品を開発して、新店舗を増やし事業を拡大していくのだけれど、労働基準法がないのをいいことに従業員をこき使うブラック企業まっしぐら!

 国を巻き込んで金儲けに暴走する夜一やセルシアだけれど、気づいたら社会を良い方向へ発展させたり、人類と魔族の対立を解決したりして社会に貢献しているから守銭奴なのも善し悪しか(?)

 調子に乗ってつまずいてしまうこともあるけれど、転んでもただでは起きない二人のドタバタが可笑しいビジネスファンタジーです。

(「一攫千金」4選/文=愛咲優詩)

お金ってなんだ? 投資から考える人生計画

  • ★★★ Excellent!!!

 非正規雇用のアラサー女子のコハル。いつもダメ男にハマり、金にも結婚にも縁がない彼女の新しい恋人のヒロトは「億り人」(資産が億超えの人)の個人投資家。コハルは彼から資産運用を学び、自分の人生の再建に乗り出す。親も教師も教えてくれない資産運用のノウハウの数々がためになり、お金に対する価値観が変わりました。

 ニュース番組も新聞も読まず経済知識ゼロのコハル。無職で趣味がAV鑑賞のヒロト。社会人としてはダメダメな二人だが、お金の話には真剣だ。

 証券口座の開き方、株主優待のメリット、投資信託の始め方、分散投資の大切さ、日経チャートの読み方などなど基礎から投資を学べて、その一方で銀行の金利や手数料、クレジットカードのリボ払いが、どんなにムダな浪費なのかを気づかせてくれる。

 実は知らないうちに私たちは毎日なにかしらの損をしているのだ。いかに自分がお金について無知だったかを思い知らされる。お金が無い無いばかり言っているコハルを笑えない。お財布の一円、十円が急に重く感じてきます。

 投資は金儲けじゃない。自分の大切なお金を信用できる企業に預ける真摯な行為だ。決してギャンブルや金持ちの道楽ではない。「投資家は卑しい職業だ」。そんな意見を持っている人にこそ読んで欲しい。

(「一攫千金」4選/文=愛咲優詩)

近江商人の商売道! それは一人の若き情熱から始まった

  • ★★★ Excellent!!!

 織田信長や武田信玄が天下を争う戦国の世。近江国のとある農民の少年が行商人として身を起こす。近江商人の哲学である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神で、人々の豊かな暮らしを目指して東奔西走する。

 彼の名は甚右衛門。後の西川仁右衛門。現代まで450年続く老舗寝具メーカー「ふとんの西川」の創業者その人だ。

 食料品や生活用品を売り歩く一介の行商人だった甚右衛門は、当時、高級品だった蚊帳の商いで成功して成り上がる。

 されど武士がいくさに明け暮れる乱世。激動の中心人物である織田信長、その後を継いだ羽柴秀吉、石田三成、時の権力者のお膝下で商いをする甚左衛門たち近江商人は幾度となく時代のうねりに翻弄される。

 それでも自分の利益ではなく、商売の師匠から託された「楽市(自由市場)」の夢を実現するために仲間の近江商人たちと力を合わせて困難を乗り越え、戦国大名の圧政に立ち向かう生き様に魂が震える。

 これぞまさに商人たちのいくさ、商人たちの戦国時代を描いた歴史大河小説です。

(「一攫千金」4選/文=愛咲優詩)