染井吉野は散りゆけど、八重の桜が開く時期になって参りましたね。八重が散っても御衣黄が咲きますし、春の酒宴はまだまだ終わりませんよ!
なんてことはさておき。いつものごとくテーマなどは定めず、みなさまにぜひとも出逢っていただきたい3作を選ばせていただきました。
癒しあり、恐怖あり、心得あり、内容はバラエティでありつつも、読み口はライトな新作群。新年度の生活にお疲れな方も元気いっぱいな方も、お心の栄養補給にどうぞご一読くださいませー。
豊玉高校2年生の金崎優磨はハーフでイケメンで、女性恐怖症。だから彼女ができるはずもなく、将来の孤独の予感に怯える日々を過ごしていた。が、あるとき親友から女子を紹介される。ちょっとした紆余曲折を経て、その女子がかわいらしいけれどもポンコツな紺野結逢であることが判明! 右往左往な青春物語が幕を開けた!
タイトルにもなってるポンコツですが、読み始めてすぐ判明する事実があります。そう、主人公の優磨君が相当に残念だってことが!
そのへんは作中でもじっくり語られてますが、彼の内面ってまったくイケメンじゃないんですよ。おかげでもう、愛さずにいられない主人公像に仕上げられてるんですよね。そしてそんな残念イケメンと、ポンコツかわいいが出逢うことで生じるのは、猛烈に噛み合わない恋愛劇!
……ラブコメのラブが成立するのか心配になりますけど、でも! だからこそふたりの恋愛成就を念じずにいられない一作になってます。念を集めるためにも、力いっぱいオススメさせていただきます。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)
女襖中学校の新入生、東上若葉は2年生の伊勢崎多々良から唐突な部活勧誘を受ける。曰く、無料で日本一周してみたくない? なんなら世界一周でもいいわよ! 疑いながらも惹かれるものを感じ、指定された社会科室へ向かった若葉は、旅行気分を味わうことを活動内容とする「机上旅行部」へ入部することとなる。
こちら、いわゆる変な部活ものなんですけど、超常系やアクションは一切なし。4人の女子中学生が社会科室っていう空間の中、旅行のプラン考えたり、電車に乗った自分たちを妄想したりしつつ会話劇を繰り広げるだけの内容になってます。
こういう系はキャラクター性や作品設定もそうですが、物語の軸に“雰囲気”がないと成立しないものです。このお話の場合は「ゆるっと感」になるわけですが、それを余分な要素一切加えることなく、しっかり匂わせられてるのがなによりすばらしいんです。
手軽且つ気軽に安心して読める、女子中学生がわいわいするだけの小話。日常に疲れた心に染みますよー。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)