3月といえば卒業の季節です。春からはじまる新しい生活に胸を躍らせる時期でもあります。そんな周囲の前向きな空気に後押しされて、気持ちを切り替えようと、勇気を出して行動する方もいるでしょう。今回は、女性キャラクターの描写が印象に残る作品の中から、新生活に相応しい4作品を選びました。春からの生活にちょっとしたスパイスが欲しい方、必読! 短編作品に美しくおさめられた彼女たちの変化、成長を楽しんでいただければ幸いです。

ピックアップ

一万字に詰め込まれた二人の人生

  • ★★★ Excellent!!!

読み終わり、まず文字数を確認しました。流石にこれはおかしいと思ったのですが、確かに四桁。一万文字未満。
今でも信じられないです。何でこんな映画みたいなお話をこれだけの量に圧縮できるのでしょうか。頭はどうなっているのでしょうか。
もう、とにかく読んでください。それしか言えません。
真っ直ぐで心を打つストーリーに、隠しきれない技量。
あなたもきっと、虜になります。
二人のアイヴィーに。

飛べ。

  • ★★★ Excellent!!!

仕事中に怪我をしてしまった『私』。
森に墜落し、そこで出会ったのは心優しいエルフの少女だった。

雄大な自然が目に浮かぶ美しい描写で紡がれる、疾走感・躍動感に満ちたファンタジー。

圧倒されながら、「おおっ」と一気読みしました。
2万字ほどの短編ですが、大作映画を見たような満足感があります。

濃いファンタジー世界をお求めの方、おすすめです。

幽霊の頼子さんがたどり着いた場所はーー?

  • ★★★ Excellent!!!

タイトルに惹かれ、お邪魔しました。

ピアノに憑いた幽霊・頼子さんが、たどり着いた北国の学校で出会ったのは少年・ジュン。
ふたりのほっこりとしたやりとりに癒されます。
しかし、ジュンの様子の変化から、頼子さんに秘められた謎が明らかになるクライマックスにはハラハラさせられました。
日常から非日常への引き込みかたがとても上手です。
今後のふたりがどうなるかが楽しみであり、せつなくもあります。

今日もどこかで頼子のピアノが鳴っている……かも。

薄く、近く、決して届かない、その境界線

  • ★★★ Excellent!!!

読了と共に息が漏れる。
ああ、と。はぁ、と。
溜息にも似て、だけれどもっと様々な感情が入り乱れたそれは、きっと言葉にできなかった言葉の残滓――その集まりなのだ。
その短い文章の中に、それだけの感情を呼び起こす物語が詰まっている。
何もかもが魅力となって読者を惹起する。
その言葉にすることも難しい切なさと愛しさを、どうか感じていただきたい。