今回のテーマは「恋愛」です! 実は担当4ジャンルに恋愛が入ってますので、重複してますやんかいさーというところはあるのですが……みなさまがご投稿くださった作品にはさまざまなタグがありますよね。でも、そういえば今までそこに注目してなかったなーと気づいてしまったのです! そうなったらアレです。季節柄もありますし、やっておかねばなりませんよね!
と、まあ、おっさんの内情はさておき。いつもどおりみなさまへ出逢いをお届けするココロで選ばせていただきましたので、お楽しみいただけましたら幸いですー。

ピックアップ

プロポーズは恋愛の終わりじゃなくて、結婚の始まりです

  • ★★★ Excellent!!!

俗に云うところのアラサー女子が、プロポーズされて結婚式を挙げるまでをまとめるエッセイ!

――いやいや、臨場感すごいですね! 著者さんのあがきっぷりと言いますか、あれこれ予感して備えて「よし来い!」って身構えて。それでも驚かされて緊張してドタバタして、いろいろ思ってみたり悩んでみたり。

涙うんぬんみたいなことはなく、実に賑々しくて達観もしてる感じなんですけど(作中、プロポーズは「仮契約みたいなもん」ってくだりがありますが、実にいい表現です)、それってちゃんと恋愛期間経てきた社会人女性だからこそ抱いてしまう必然なんですよねぇ。

そして1月27日更新分ではまだ(仮)な旦那さんのままならなさ! 
結局のところ、男女とはけして理解し合えぬものなのだという真理が垣間見えます。それでも惹かれ合って人生を共にするんですから、結婚とは本当に奇なるものです。
軽妙な筆で結婚の真実を深々と掘り描く本作、女性ばかりでなく男性にも読んでいただきたいと思います。

(愛を讃える(?)4選/文=髙橋 剛)

彼が彼女に思うこと/彼女が彼に思うこと

  • ★★★ Excellent!!!

イラストレーターの近衛充輝とゲーム会社のデザイナーである本条優莉は恋人で、今は同棲中の間柄。そんなふたりのなんでもない、しかしかけがえのない毎日が描かれる。

充輝さん視点と優莉さん視点の短編が交互に綴られる連作短編、主人公であるふたりが、それはもう“やわらかい”んですよねぇ。お互いの存在が大事で、ふたりで過ごす時間が大事。それが実に細やかで濃やかな心情描写で綴られているわけなんですけど……

著者さんはここでドラマチックに盛ることなく、充輝さんと優莉さんに噛み締めさせちゃうんですよ。「愛してるーっ!」じゃなくて、「ああ、好きだなぁ」って。

こういう感じって、表現するのは難しいものです。なにせはっきりした形がありませんから。でもだからこそ、これをしっかり表現している作品は、なにより強く心に残るものなんですよね。
どこまでもさりげないからこそ限りなく胸を揺さぶられる作品です。

(愛を讃える(?)4選/文=髙橋 剛)

深夜のコンビニで始まって終わるストーカー引退劇、その真実とは?

  • ★★★ Excellent!!!

深夜のコンビニでバイトしている黒澤は熟達したストーカーである。そして今のターゲットは、土曜日の0時にかならず店を訪れる木村和歌子、鈍い彼女はまるで黒澤の存在に気づかず、それゆえに彼はストーカー人生を謳歌していたのだが……。

この作品のなにがすごいかといえばもう「伏線で起爆するどんでん返しの美しさ」、これに尽きるわけなんですが、もうひとつ注目していただきたいのは主人公の有り様そのものです! 

和歌子さんの一挙一動に一喜一憂したり、ちょっとした思い込みで暴走したり。
ストーカーでさえなければ、それはもう一途で血の熱い恋する男なんですよ。

その人間力があるからこそ、その視界の狭さがどんでん返しで一気に晴れ、ついにストーカーを卒業することを誓う彼の姿になんとも言えないカタルシスを感じられるんですよね。キャラ力の重要性、ほんとに思い知ります。
短編作ですので、伏線を掘り起こしながら一気にオチまで読んでみてくださいませー。

(愛を讃える(?)4選/文=髙橋 剛)

その手に情と愛とを握り込み、男は戦いの場へ立った

  • ★★★ Excellent!!!

奈良時代の南九州に住まう土着民族「隼人」。
ヤマトに帰順した彼らのひとりである阿多のカザトは、同じ隼人の別部族であり共に帰順していた大隅の反乱を制圧する軍の使者として選ばれた。そして戦いの中、彼は好敵手であったヒギトとまみえ、習い修めた格闘技で勝負をすることとなる。

なによりもまず読み応え! 
隼人という存在を透かして映しだされた当時の日本の有り様は、政治的にも土地的にも色濃い問題をはらんでいることが窺えて実に興味深いですし、それだけでも物語として十二分に成立してます。

が、その渦中へカザトさんが投じられることで、物語がドラマに昇華するんです。

立場的には忌まれる異民族。でもその確かな格闘の技とまっすぐな心がヤマトの人たちとの友誼を、愛を育み、だからこその深い葛藤を生む。そして、それを積んだ先で同じ隼人とのライバル対決ですよ。盛り上がらないはずがありません。

極太の軸がまっすぐに通った歴史浪漫、まっすぐおすすめさせていただきます。

(愛を讃える(?)4選/文=髙橋 剛)