新作紹介です! ということで、今回も4作を選りすぐらせていただきましたよー。
今さらですが、「金のたまご」における私のテーマは“出逢い”だったりします。ですので毎回、これをお読みいただかないのはもったいないぜーという作品をピックアップさせていただいているわけですが、今回も自信をもって出逢いをおすすめできる「たまご」をご紹介できました。
ぜひ、この出逢いをお楽しみください。そしてお気軽にカクヨムへご投稿ください。それが次なる出逢いとなって、どんどん輪は拡がっていきますから。私も力の限りお手伝いさせていただきますよー。

ピックアップ

泣いた女子と見た男子、ふたりが織り成すラブストーリー

  • ★★★ Excellent!!!

いつでもどこでも、感情が大きく揺れると泣いてしまう女子だった神崎渚子。
彼女は一念発起、場所を選んで泣けるようになろうとがんばった。結果、彼女はひとりになると泣いてしまう不穏な女子高生となってしまい、さらにはある日、その様をクラスメイトの男子、田中に見られてしまった!

という感じで始まるこの作品、ひと言で表わすなら「くぅー」です。
泣いた渚子さんと目撃者の田中くん、お互いクラスがいっしょなだけの関係だったのが、心はあたふた、状況はわーわー、いつの間にか距離を詰めていきます。
運命の出逢いってほど重くないのに俯瞰して見るとなんかこれ運命じゃね? っていうこの構成、実に「くぅー」なんです!

渚子さんのキャラ立てもいいんですよ。思い詰めてやらかしちゃう系の人なんですけど、それがかわいらしくて、ドラマをぐいぐい引っぱっていって。主人公の強さはすなわち物語の強さですから、その点も実にすばらしい!
まだ始まったばかりの物語ですが、続きが待ち遠しいですねぇ。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

剣で結ばれ、剣に断たれるは友の絆

  • ★★★ Excellent!!!

時は明治。元は維新志士であった警察官、山口義之助は肩を並べて新たな世を拓いた友、坂堂神崎の捕縛を命じられる。
生死を問わず……その言葉を添えられて。
果たして義之助は刃を携え、神崎の前に立つ。勝敗はどうあれ、今日が友との別れの日となることを知りながら。

幕末を駆け抜けた志士だったふたりが、その先で手にした立場やしがらみによって相対して闘う。
実にシンプルなお話ですが……ただの剣劇じゃなくて、その間に心情が折り重ねられてるのがいいですねぇ。

剣を振るう意味があって、命を獲り合う意義がある。それがきちんと伝えられているからこそ、匂い立つんです。男たちの悲哀と時代錯誤なはずの「立ち合い」のドラマ性が。

これはジャンル問わずのことですが、キャラの心情が書けていない作品に情感が宿ることはありません。
それを1万字程度の物語で、これだけたっぷり魅せてくれているわけですから、本当にたまりません。

キャラとドラマの匂い、ご堪能いただけましたら!

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

時に轟々、時に徒然、“製作進行”が語り上げるは剥き出しの自分!

  • ★★★ Excellent!!!

美少女ゲームの製作会社で、クリエイターと会社を繋ぐ「製作進行」業務をしている著者さんが心のままに綴るエッセイです――が。
エッセイの醍醐味のもっともたるは、知らない世界を垣間見れることですよね。
でもそれだけじゃ足りません。「著者さんという“人間”を見せてもらうこと」、これがなきゃおもしろくないんです。

こちらはその“人間”が、これでもかってくらい味わえる内容になってます。

業界の理不尽の内でかきむしられる著者さんの心! 
吐き出される弱音、愚痴、怨嗟! 
それでも倒れず光に向かう強さ! 

つらつらと書き出された悪いことといいことが全部ぶち込まれ、ひとつにかき混ぜられた混沌は、等身大の著者さんを剥き出して読者の前へ示されます。
この潔さを魅せられたら、それはもう心動かされるしかないですよ!
人間だからこそ苦しくて、人間だからこそ楽しい。
そんな真理を噛み締めさせてくれる一作です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

書き手の“声”飛び交う言葉の戦記

  • ★★★ Excellent!!!

カクヨムにご投稿くださっている書き手の方々が、お題を出しつつ対談形式で交わしたログ――それをまとめた「議事録」です。

実際のところ、書き手さんの交流は難しいものですよね。なにせ居住地はバラバラで、人によっては海外にいらっしゃるかもしれないわけで。
それをこちらの議事録、その高いハードルをあっさりクリアして、「書き手さんの生の声」を見せてくれてるわけです。

いや、読み手としても気になるじゃないですか。この作品の作者さんはどんな人なのかなって。
それをテレビに出演してる作家さんを見る、あの感じを味わえるのがなんともおもしろいんですよねぇ。
あの作品を書く人が、こんなことをそんなふうに考えてるのかーって。

これはまさに同じ書き手同士で目線を合わせられるからこそ、飾らない言葉を引き出し合えてるわけですよね。実に趣深いです。

作品もいいけど作者もね! 
ということで、先に開催された第一次、第二次を含めて丸っとおすすめさせていただきます。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)