新作紹介です! ということで、今回も4作を選りすぐらせていただきましたよー。
今さらですが、「金のたまご」における私のテーマは“出逢い”だったりします。ですので毎回、これをお読みいただかないのはもったいないぜーという作品をピックアップさせていただいているわけですが、今回も自信をもって出逢いをおすすめできる「たまご」をご紹介できました。
ぜひ、この出逢いをお楽しみください。そしてお気軽にカクヨムへご投稿ください。それが次なる出逢いとなって、どんどん輪は拡がっていきますから。私も力の限りお手伝いさせていただきますよー。
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いつでもどこでも、感情が大きく揺れると泣いてしまう女子だった神崎渚子。
彼女は一念発起、場所を選んで泣けるようになろうとがんばった。結果、彼女はひとりになると泣いてしまう不穏な女子高生となってしまい、さらにはある日、その様をクラスメイトの男子、田中に見られてしまった!
という感じで始まるこの作品、ひと言で表わすなら「くぅー」です。
泣いた渚子さんと目撃者の田中くん、お互いクラスがいっしょなだけの関係だったのが、心はあたふた、状況はわーわー、いつの間にか距離を詰めていきます。
運命の出逢いってほど重くないのに俯瞰して見るとなんかこれ運命じゃね? っていうこの構成、実に「くぅー」なんです!
渚子さんのキャラ立てもいいんですよ。思い詰めてやらかしちゃう系の人なんですけど、それがかわいらしくて、ドラマをぐいぐい引っぱっていって。主人公の強さはすなわち物語の強さですから、その点も実にすばらしい!
まだ始まったばかりの物語ですが、続きが待ち遠しいですねぇ。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)
時は明治。元は維新志士であった警察官、山口義之助は肩を並べて新たな世を拓いた友、坂堂神崎の捕縛を命じられる。
生死を問わず……その言葉を添えられて。
果たして義之助は刃を携え、神崎の前に立つ。勝敗はどうあれ、今日が友との別れの日となることを知りながら。
幕末を駆け抜けた志士だったふたりが、その先で手にした立場やしがらみによって相対して闘う。
実にシンプルなお話ですが……ただの剣劇じゃなくて、その間に心情が折り重ねられてるのがいいですねぇ。
剣を振るう意味があって、命を獲り合う意義がある。それがきちんと伝えられているからこそ、匂い立つんです。男たちの悲哀と時代錯誤なはずの「立ち合い」のドラマ性が。
これはジャンル問わずのことですが、キャラの心情が書けていない作品に情感が宿ることはありません。
それを1万字程度の物語で、これだけたっぷり魅せてくれているわけですから、本当にたまりません。
キャラとドラマの匂い、ご堪能いただけましたら!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)