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WEB小説界隈を語る上で避けては通れぬジャンル。それが異世界ファンタジー。カクヨムには幅広いジャンルの小説が掲載されており、この企画でもなるべく様々なジャンルを紹介にするようにしていますが、じゃあカクヨムの異世界ファンタジーはダメなのか、やはり異世界の本場はな○うなのか? 異世界転生ものを書くならやはりな○うに投稿すべきなのか?というと、そんなことはないのです! カクヨムで探せば探すほど次々見つかるユニークな異世界ファンタジー。そんな中でも今回は個人的に気に入った、4作品を独断でピックアップしました! 人類に留まらず様々な種族が戦う異世界最大トーナメントから、予想外のシチュエーションを次々取り入れる異世界転生ショートショートまで、様々なクセのある異世界ファンタジーをご賞味あれ。
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WEB小説界隈に満ち溢れる異世界転生もの。
これだけ数があると「もはや異世界転生に新たな可能性は残っていないのでは……」なんてことを思ってしまいそうになりますが、そんなことはないのです。
それを象徴するような作品がこちらです。
本作はショートショート集になっており、各話ごとに様々な異世界転生が登場するのですが、どれもシチュエーションが極端かつ強烈すぎます。
1000文字で物語を完結させる必要があるので、某ソードマスターも驚きの展開で進行する物語や、主人公が最強すぎるせいで作中の強さの基準が異様な速度でインフレする物語、
普通の転生ものの展開を進めたいのに地の文がいちいち主人公の行動にケチをつけて煽ってくる物語、自意識すら存在しない牡蠣を異世界に転生させる物語……
メタフィクションから異世界もののお約束を逆手に取ったような作品まで実にバリエーション豊か。
また、どの話も短くまとまっているので、空いた時間でサラリと読めるというのも本作の大きな特徴。
短い話の中にたっぷりと注入された作者の奇想を存分にお楽しみください。
(異世界あらかると 4選/文=柿崎 憲)
女の子の頭の中には、恋愛、ファッション、旅行に料理と様々なジャンルで鮮やかに彩られています。
一方、男の子の頭の中は常に一つ。それは「この世で一番強いのは誰なのか?」
間違いありません。僕の身の回りの『グラップラー刃牙』読者8人に訊いたところ「だいたいあってる」と答えてくれました。
そして、そんな男の子の夢と願望と妄想を異世界を舞台に実現したのが本作『異修羅』です。
登場する戦士は16人。巨大なゴーレムを剣一本で斬り倒す、異世界からやってきた柳生の剣士。たった一射で地形を変動し洪水をも押しとどめる巨人。あらゆる格闘技術を習得したスライムにも良く似た粘獣。どんな魔法や攻撃を受けても傷一つつかない無敵の少女……といった普通に強そうな人(?)たちから、相手を殺したいと思っただけで命を奪うことができる暗殺者。大勢の配下を率い条件を満たせば簡単に人を支配できる吸血鬼。周囲の魔法や能力を無効化し純粋な暴力で敵をねじ伏せる大鬼など、イカサマ臭い能力を持った人たちまで盛りだくさん。色んなタイプのチートで最強なキャラが揃っています。
人間に限定されず、あらゆる種族から集められたこの強者たちが、命を賭けて最強を決めるトーナメント戦! こんなもの読みたくなるに決まってる!
ここで当然挙がる疑問として、「こんな奴らを戦わせてちゃんと満足のいく試合内容が書けるのか? 無敵の盾と矛を戦わせるようなものでは?」というものがあります。
それに関しても心配ご無用。現在物語は二回戦第一試合に突入し、一回戦の八試合は既に終了していますが、そのどれもが名勝負! こんな奴負けるわけねえだろと思われてたキャラクターが敗者となる過程や姿が説得力たっぷりに描かれています。
さらに大会の裏では運営側の思惑や裏工作が飛び交い、一筋縄では終わらない展開も予感され、シンプルながらも今後の展開が予想がつきません。今最も先が気になる作品といっても過言ではないでしょう。
というわけで、少年漫画でトーナメント展開に突入するとつい嬉しくなっちゃう人たちは必読ですよ!
(異世界あらかると 4選/文=柿崎 憲)
異世界ものには大きく分けて二つの種類があります。
一つは転生時に与えられた特殊な力を活用する作品、そしてもう一つが元から持っていた知識や技術をメインに活かしていく作品です。
そして、本作は間違いなく後者に分類される一作。
狩猟の最中に山奥で異世界へと転移されてしまった主人公が持っていた猟銃やサバイバル用品を駆使して、異世界で獣を殺し、生活していくというのが主な内容なのですが、注目すべきは詳細に描かれる狩猟生活の様子。
狩猟といっても、ただ単純に銃を撃って獲物を殺してはいおしまいというわけではありません。獲物をどうやって探すのか、殺した獲物が病気を持ってないかの確認方法、血抜きや解体のプロセス、自然の材料をどう料理に組み込むかなど、そのような実際に経験してないとわからないようなアイデアが次々と登場。
こういう細かい描写の積み重ねがリアリティを生みだし、作品の面白さをより引き立ててくれるのです。
時には自家製の罠を作ったり、さらには火薬や弾頭の作成に挑戦したりと、狩りばかりではなくものづくりの楽しさも描かれており、異世界でサバイバル生活をすることになったときにはお役に立ちそうな一作です。
(異世界あらかると 4選/文=柿崎 憲)