毎日が日曜日と化した猟師の異世界狩猟生活

異世界ものには大きく分けて二つの種類があります。
一つは転生時に与えられた特殊な力を活用する作品、そしてもう一つが元から持っていた知識や技術をメインに活かしていく作品です。

そして、本作は間違いなく後者に分類される一作。
狩猟の最中に山奥で異世界へと転移されてしまった主人公が持っていた猟銃やサバイバル用品を駆使して、異世界で獣を殺し、生活していくというのが主な内容なのですが、注目すべきは詳細に描かれる狩猟生活の様子。

狩猟といっても、ただ単純に銃を撃って獲物を殺してはいおしまいというわけではありません。獲物をどうやって探すのか、殺した獲物が病気を持ってないかの確認方法、血抜きや解体のプロセス、自然の材料をどう料理に組み込むかなど、そのような実際に経験してないとわからないようなアイデアが次々と登場。

こういう細かい描写の積み重ねがリアリティを生みだし、作品の面白さをより引き立ててくれるのです。

時には自家製の罠を作ったり、さらには火薬や弾頭の作成に挑戦したりと、狩りばかりではなくものづくりの楽しさも描かれており、異世界でサバイバル生活をすることになったときにはお役に立ちそうな一作です。

(異世界あらかると 4選/文=柿崎 憲)