「幸せしみる。あの日がしみる。」 幸せしみるショートストーリーコンテストを開催。
1,309 作品
この度は「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテストにご応募いただき、誠にありがとうございました。
本コンテストには、全1,309作品ものご応募をいただきました。
多くの方にご参加いただき、大変嬉しく思います。
ご応募いただいた作品は、懐かしい思い出がしみる作品、青春がしみる作品、やさしさがしみる作品など、みなさまの様々な「幸せしみる」瞬間を感じることができました。
その中でも特に、幸せしみる「赤いきつね」「緑のたぬき」らしさを感じた7作品を選出いたしました。
赤いきつね物語賞、緑のたぬき物語賞の受賞作品については、作品のキャッチコピーを記載した「しおり」を制作し、3月中旬~全国の書店200店舗で配布予定です。
今後とも「赤いきつね」「緑のたぬき」をどうぞよろしくお願いいたします。
「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコンテスト事務局
「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」という誰もが知る食品を、作者の方々のアレンジの妙で、ほのぼの、どきどき、ほんのり、しんみり、じんわり、豊かに味わえました。家族との思い出を描いた作品も多数あり、歴史と伝統を改めて実感した次第です。
カクヨム編集長
双葉の元には今月も一箱の贈り物が届く。
それは実家の母からの荷物だった。
中身は双葉が食べないインスタント食品やレトルトカレー。それに。
「蕎麦の方が好きだって何回言ったら覚えるんだろう」
赤いパッケージのうどんだ。
いつまで言っても好きなものを覚えてくれない母親に若干の苛立ちを覚えながら、双葉は今月もまた電話をかけるのだ。
「もう送ってこないで」と。
とある日の、とある警察署。生活安全課の当直勤務は激務である。晩御飯を食べられないことなんてザラであり、そう言う時は備えている「非常食」が役に立つ。
今回の非常食は、赤いきつねと緑のたぬき。蕎麦好きの上司に、緑のたぬきを譲ろうとしたら「好きだからこそ食べられない」と告げられる。
上司の「好きだからこそ食べられない理由」とは?
葵はいつもの公園でぼっち飯をしていた。
しかし、なぜか知らない女の子がじっと見てくる。
なんだか落ち着かない。
しっしっ、と手で追い払っても、女の子はそこから動かなかった。
わたしが赤いきつねと、父タカシが嫌いな理由が、ここに詰まっている。でも本当の想いは単純に、シンプルに、まっすぐな態度にはならない。
「たとえば幸せが目に見えるとしたら、どんな形をしてると思う?」
いまいち暖房の効かない部室で、お湯を入れたカップ麺を前にして先輩は私に尋ねた。
先輩はこういうぽっかりと空いた時間を縫うようにたとえばの話をする。
時間を大切にする人なのだ。
さあ、答えよう。
私は私の幸せのために。
高校一年生の大輔は、美術の授業の課題で居残っていた女子生徒・南羽衣子の油絵に、赤い油絵の具を飛ばしてしまう。平謝りする大輔を許す代わりに、羽衣子から「カップ麺を食べるのに付き合ってほしい」とお願いされて……?