概要
終わった世界に響く、最高に陽気な嘘ラジオ
柴田恭太朗様の自主企画<【三題噺 #134】「波」「嘘」「朝食」>参加作品
世界はとうの昔に終わっていた。
灰色の風が吹き抜ける廃墟の街で、男はひとり、カセットテープに刻まれた過去のラジオを聴き続ける。
快晴を告げるDJの陽気な声、今日が素敵な日になるようにという祈り……
それが全て「終わる前日」の録音だと知りながら、男は嘘を飲み込み、毎朝同じラジオを聴き続けていた。
しかし、磁気テープはいずれ摩耗による「終わり」が待っている。
音が消えることに恐怖する男がした決意とは――
世界はとうの昔に終わっていた。
灰色の風が吹き抜ける廃墟の街で、男はひとり、カセットテープに刻まれた過去のラジオを聴き続ける。
快晴を告げるDJの陽気な声、今日が素敵な日になるようにという祈り……
それが全て「終わる前日」の録音だと知りながら、男は嘘を飲み込み、毎朝同じラジオを聴き続けていた。
しかし、磁気テープはいずれ摩耗による「終わり」が待っている。
音が消えることに恐怖する男がした決意とは――
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ラジオは笑う、『おっはよーございまーす!』と。
主人公は日々を生きるために精一杯だった。
彼の朝のルーチンは〝ラジオ〟を聞く事。
『明るいラジオ』が嘘をつく、空は晴れていい天気、大事な人と過ごそう、そして素敵な日になるように、と。
『ただ生きる主人公』の対比が、眼の前で踏み躙られるものではなくじわりじわりと真綿で締め付けられる絶望として描かれており、それらが耳鳴りのように聞こえるのが流石と感じました。
それでも、ラジオは明るく嘘をつく。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……。
世界が変えられないのはどうしようもないけど、きっと彼は明るくなれる筈。
それが、終わる事が運命付けられていても……。 - ★★★ Excellent!!!毎日繰り返される「おっはよーございまーす」
午前5時。
「おっはよーございまーす」という、陽気なDJの声が響き渡る。
しかし、その声はどこからも繋がっていない。ただこの部屋で発せられるだけだ。
それは昨日も一昨日も同じ内容のラジオ。そして、明日も明後日ももし聞けたとしても内容が変わることはない。なぜなら……。
世界が終わりを迎えた時、自分の心が縋るのは、こうした日常の片鱗のようなものなのかもしれないと感じた。それによって自分は辛うじて毎日を過ごせる。
この毎日は、いつまで繰り返せるだろうか。食料も、DJの明るい声も、いつかは終るときがくるのはわかっているのにーー。
ひとりの男の居住空間で描かれる、世界の終焉のあとの物語…続きを読む