概要
外に出られない連休。彼が選んだのは“停止できる恐怖”だった。
GWの賑わいが窓の外から流れ込む。中年の男は、買い物ひとつにさえ外へ出られず、部屋に引きこもっていた。理由は、以前たまたま居合わせた事故現場の記憶――ブレーキ音、金属音、そして世界が一度止まったように感じた“一秒”が、交差点や車の音で何度でも蘇るからだ。記憶を薄めるために彼が選んだのは、スプラッター映画だった。現実と違い、恐怖には予告があり、音量も、一時停止もできる。だが画面の赤は、逆にこびりついた断片を呼び起こしてしまう。連休の街が続くなか、男は“外へ出る”のではなく、“外に触れる”ための小さな練習を始める。
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