概要
その飴は、甘くて、苦くて、……明日を生きたくなる味がした。
遠藤二三夫(えんどうふみお)は、人生のあらゆるタイミングを間違えてきた「書き損じ」の男だ。小学校の運動会ではスタートと同時に靴紐が解け、調理実習では触れた瞬間に計量カップが割れる。世界という精密な機械の中で、彼だけが規格外のネジとして放り出されていた。そんな二三夫の最期もやはり「書き損じ」だった。交差点で子猫を助けようとしてトラックに撥ねられた彼が、死の間際に抱きしめていたのは――安物の「猫のぬいぐるみ」だったのだ。
無様な死を遂げた二三夫が、神様の手違いで送り込まれたのは、人情と情緒を重んじる異世界「ニッポンポン」。そこで彼は、二人の強烈な職人に弟子入りすることになる。竹篦(たけべら)一本で頑固なシワを伸ばし、魂を叩き直すクリーニング職人の鹿野鉄造。そして、琥珀色の飴に世界の情緒を封じ
無様な死を遂げた二三夫が、神様の手違いで送り込まれたのは、人情と情緒を重んじる異世界「ニッポンポン」。そこで彼は、二人の強烈な職人に弟子入りすることになる。竹篦(たけべら)一本で頑固なシワを伸ばし、魂を叩き直すクリーニング職人の鹿野鉄造。そして、琥珀色の飴に世界の情緒を封じ