概要
それは「間違いを犯さない正義」として、日本中の支持を集めていた。
ある日、高校生・藤田 直の日常は唐突に壊れる。
大切な人――道井 桃が、《アヴァロン》へ送られたのだ。
連絡は取れない。面会もできない。
彼女は、社会から完全に消された――はずだった。
そんな日々の中、直のもとに、奇妙な「楽譜」が届く。
国家最強のAIは、本当に完全なのか。
そして少年は、国家最強のAIを出し抜くことができるのか。
近未来SFサスペンス
『音紋 — Sound Print —』
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!音が正義を暴く、青春SFの最前線。
音が色になり、
色が言葉になり、
言葉が世界を揺らす。
そんな無茶なロマンを、
本気でやり切ってくれる物語。
直の冷めた計算高さと不器用な情。
桃の天才らしい無邪気さと痛み。
麦の重たいほどの信頼。
そして、家族の生活感。
SFの理屈も国家規模の陰謀も飛び出すのに、
最後に胸を掴むのは、
スープの匂いやレシート一枚の重みという、
この地に足のついた奇跡がたまらない。
才能はある。
でも財布がない。
正義はある。
でも誰のものでもない。
その不確定さの中で、
ピアノに賭け、
言葉に賭け、
誰かを信じるしかない少年たちの覚悟が、
笑えるほど青くて、
泣けるほど尊い。
修羅場を真正面…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『音が言葉になる』という発明が、ここまで切実に心へ届くとは
共感覚(音が色になる)を持つ少年・直の描写がまず美しく、ピアノの響きが視覚と温度を伴って迫ってくる“体験”として書かれているのが魅力でした。
そこへ、耳の聞こえない弟に言葉を届けたい姉・桃の執念が重なり、音の多重和音が偶然ソフトの変換規則と一致して「文字」になる――という設定が、SFとして面白いだけでなく、家族の祈りとして胸に刺さります。
「伝えたい」が技術を越えて奇跡になる瞬間が、本当に綺麗。
一方で、AIが統治する孤島収容施設“アヴァロン”の制度設計が生々しく、正義と効率を掲げながら人間を資産化していく冷たさが怖い。
音楽の温度と、制度の冷酷さの対比が効いていて、読む手が止まりませ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その一音は、監獄の壁を超えて届く「言葉」だった!
この作品の舞台は、AIが統治する究極の監獄「アヴァロン」。そこは、私情を排した「完璧な正義」が支配し、一度収容されれば巨額の賠償金を労働で返済するまで決して出られない、絶望の孤島だった……
音を「色」として捉える特別な才能を持つ高校生、藤田直。彼の平穏な日常は、淡い恋心を抱いていた天才少女・道井桃が家族と共にアヴァロンへ強制収容されたことで一変する。
外部との接触が完全に断絶されたはずの監獄から届いたのは、一通の「楽譜」だった……
直がその音色を響かせたとき、ピアノの鍵盤は暗号を解く打鍵へと変わり、楽譜に隠された桃の「真実のメッセージ」を浮かび上がらせたのだった。
国家の巨大な陰謀を…続きを読む