恋風
海翔
第1話
年が明け何かが新しく変わるような気がして新年を迎えたが、今年も変わりない朝だった。
ただこの時期の東京の空はいつもと違い澄み切っていた。
ベランダに出てみると新雪をかぶった富士山がよく見え、そこに父親がポストから年賀状を取って戻ってきた。
「結構たくさんの年賀状が来ていたが、これも退職したら少なくなるなー」と父親が淋しく答えた。
その年賀状の中から友也は自分宛てに来ている三枚の年賀状をもらい自分の部屋で確認した。
本来友也は年賀状を書く習慣がなくほとんど電話で挨拶をするぐらいだったので高校時代のクラスメイトから年賀状が来たこと事態に興味を持った。
実際クラス会にも参加したこともないので近況も気になっていたが、年賀状を見ると岩井舞衣と西田玲奈と書かれた年賀状があった。
岩井舞衣、、、初恋の相手だった。
風の頼りで大学卒業をして直ぐに結婚したと聞いたが、年賀状を見たら旧姓に戻っており2年前に離婚したと書いてあった。
最後の文面に友也さんがまだ独身でしたら連絡下さい。そして、その後にメールアドレスと電話番号が書いてあった。
友也は気になって、電話をしたらタイミング良く舞衣さんに繋がり「友也です。お元気ですか?年賀状見て電話してみました」
「お久しぶりですね。私は離婚して今は一人になり、実家にいます。良かったら会いませんか?」
「そうですね。3日頃に会いましょうか?」
「その頃なら時間取れそうなので会いましょう」
友也は「その日の朝に電話入れますのでその時に時間を決めましょう。では、その頃に、、、」
そう言って友也は電話を切った。
そして友也は2枚目の年賀状を見た。
書かれてあった西田玲奈、、、お互い初めて関係を持った仲でそれ以来良く二人で行動していたが大学を卒業後はすれ違いの生活で何となく距離を置いてしまった。
友也にとっては一番気になっている人だった。
書かれてあった携帯の電話宛にかけてみたら、忘れかけていた玲奈さんの声が聞こえてきて「友也です。ご無沙汰しています。お元気ですか?」
「はい、変わりなく生活しています。仕事の方は以前勤めていた会社から父の会社の秘書をしています」
「友也さんは仕事の方は変わりないですか?」
「はい、私の方は変わりなく商社に勤めています。ただ、忙しい毎日です」
「玲奈さん都合が良ければ会いませんか?いろいろ話したいこともあるので、、、」
友也は舞衣さんと会ってからの時間を決めることにして「5日ぐらいはどうですか?」
玲奈は会社も休みなので「その頃に会いましょう」
「時間は夕方によく待ち合わせた喫茶店で会いましょう。では、その日に会える事を楽しみにしています」と言って電話を切った。
そして3日目が来た。友也は昼過ぎまで実家で過ごして、舞衣さんに電話を入れて「3時頃に会いませんか?」と話したら、
舞衣さんも「その時間に駅前のフレンドと言う喫茶店で待っています」
それを聞いて友也は「その時間にそちらに行きますね」と話した。
友也は準備をして時間に合わせて家を出た。
フレンドに着いて見渡したら、奥の席で舞衣さんが手を上げたのでそちらに向かった。
「お久しぶり」そう言うと、
「友也さんずいぶん大人びたのでビックリした、、、」
「私もですよ、舞衣さんも大分変わったので、数年の間に色々経験したんですね」
「うん、いろいろあったけど後悔はしてないは、、、これからまだまだ生きていかないとね」
「力強くなったんですね」
「私、高校卒業した後にT大学に入ったのそこを卒業して家業を手伝って2年後に親戚の紹介で結婚したけど性格の不一致で離婚したの、今は家業を手伝っているのしばらくは結婚は考えないで生きていくつもり、、、」
「友也さんとは高校時代付き合っていたけど、大学が違っていて何度か連絡取ろうとしたけど、タイミングが取れず今に至ってしまったの」
「そうだったんですか、私も大学が始まってサークルに入り、慌ただしく時間が過ぎて行き、何もできなかった」
「結局、大学を卒業して商社に入り現在に至った。年賀状で舞衣さんから連絡がなければわからなかったかも、、、でも、会えて良かったです」
「舞衣さんから年賀状をもらった時に、何か高校時代に最後の思い出を残してしまったような気がしました」
舞衣は「それはなんですか?」
「もっと、舞衣さんを愛してやりたかった。そのことで少しは人生も変わっていたのかと、、、」
舞衣は「私、友也にもう一度愛されたいは、高校時代の時のように、、、すごく好きだったの」
「でも、時に流されて過ぎて行ったのことには後悔してるの」
「そうだったんですか。私も年賀状が来たとき感じました」
お互いの話が盛り上がりだいぶ時間が過ぎて行き、もう、11時近くになってしまった。
舞衣は「今日は友也と過ごしたい。家には知人の家に泊まると電話入れておきますから、、、」そう言われ友也もそれに従うことにした。
二人は喫茶店を出て駅前のホテルに入った。
友也は部屋に入り、舞衣を優しく抱きしめてキスをした。
静かな時間がしばらく続いた。湯船に湯がたまり静かに止まった。
「それじゃ先に浴室に入いるね」と言って友也は着ているものを脱いで浴室に入り、湯を身体に慣らした。
舞衣も少し時間を置いて浴室に入ってきた。
湯で身体を慣らして友也の隣に入ってきた。
舞衣の均整の取れた身体は欲情を誘った。湯の中で二人は体を触れ合いながら、お互いを求めあった。舞衣は切ない声を出し浴室の中で声が響いた。
身体が温まったころに湯船の外に出てお互いの背中を流しあってから浴室を後にした。
バスタオルで身体を巻いて、そのままベッドの方に移動した。
友也は舞衣のバスタオルを取って裸のままでベッドに横になった。
キスをして学生時代の置き忘れてしまった思い出を振り返りながら舞衣は抱きしめた。
舞衣は激しく反応をして切ない声を出し、目には一筋の涙を流してあの時を思い出していた。
忘れられない思い出が二人を強く結び、激しく求めあった。二人が一つになった時、舞衣は友也の愛を身体に受け止めてそれに酔いしれた。
友也もすべてを受け入れて燃え尽きた。
静かな時間が過ぎた、、、、。学生時代の置き忘れた物を取り戻した気持ちです。
「友也さんどうもありがとう」そう言って、静かに眠りについた。友也もそれにつられて眠りについた。
翌朝、舞衣さんのバスルームからのシャワーの音で目が覚め、友也も裸で浴室に向かい、扉を開けて「おはよう」と言うと「おはようございます」と舞衣さんは答えた。
友也は舞衣さんを抱きしめて口づけをしながらシャワーを浴び身体を触れ合った。
舞衣は「昨日はありがとう。青春の忘れ物を叶えることができました」そう言って目に涙を浮かべ、友也に抱きついた。
友也は何も言わずに静かな時間を過ごし、その後、着替えてホテルを後にした。
そのまま二人は別れて自宅に帰った。
家に帰り、友也は台所に置いてあったお雑煮を食べて腹越しらいをした。
その後、玲奈さんに電話をして明日の夕方に会う約束をして、携帯のメールを確認した。
舞衣さんからメールが来てこれからも会えるようでしたら友也さんと会いたいですと、そのメールの終わりにハートのマークが付いていた。
そして、翌日の夕方に駅で待っていると玲奈さんがこちらに向かってやって来た。
友也は「久しぶり、なかなか会えないでごめん」
「私こそ、、、元気でいたの、、、」
「うん、なかなか仕事に追われて連絡できなかった。まあ、こうやって会うことできて良かったです」
その後、近くのイタリアンの店でワインを飲みながらお互いの事を語り合った。
その話の中に「最近私の友達が離婚して元気がないんですどうやって慰めたらいいのか、、、」
「なかなか難しいですよね」
「その人は私の大学の同級生なんです。女子大だったので免疫がなく大学卒業してから親の進めで結婚したんですが性格の不一致で別れたんです」
その話を友也は聞いて「私の知人にも同じような人がいました。岩井舞衣と言う子なんですが、、、」
それを聞いて玲奈はビックリして「私の知ってる人も同じ名前です」
友也は確か舞衣は高校出てからT大学に行ったのだけれど、玲奈は「その人もT大学で学園祭で意気投合して仲良くなったの」
「そうだしたか、、、もしかして、同じ人かも知れない」
「どうせなら、呼んでみますか?」
「そうですね」そう言って玲奈は舞衣に携帯電話を入れてここのレストランに来てもらうように話した。
45分もしたら、舞衣さんがこのレストランに来て、二人を見てビックリして「どういう関係ですか」と尋ねた。
玲奈は「私の同じ大学のゼミ仲間で2年の時から付き合っていたんですが、大学卒業で疎遠になり、年賀状で会いたいと連絡したの」
舞衣は「私は友也とは高校時代の初恋の人で2日前に再会したばかりです」
「そうだったんですか、、、」
「私たち友也さんと縁が合ったんですね」
友也は「まさか舞衣さんと玲奈さんが知り合いだったのはビックリです」
「どう、これから付き合えばいいのかわからなくなってきました」
玲奈さんも「舞衣さんと友也が知り合いだったとは、、、どうしていいかこれからがわからない、、、」
玲奈は冷静になって「二人は関係を持ったことはあるんですか?」そう言われ、
友也は2日前のことを思い出して話していいのか悪いのか躊躇していたら、舞衣さんが「あります」と答えた。
「玲奈には嘘はつけないから、、、」
玲奈も「大学時代に私もあります。初めての人だったの、、、」
「そうだったんですか」
「友也さんは二人と関係持ったんですね」
友也は「お互い疎遠の時だった。もし、わかっていたら、このようなことはなかったかも知れないよ」そう言って黙ってしまった。
玲奈も舞衣も友也ともう一度付き合いたくて年賀状で連絡したが思わぬ方向に向かってしまい、答えの出しようがなかった。
「運命とは恐ろしいものですね」
「友也さんはどちらと付き合いたいのですか?」
そう言われ「舞衣さんは結婚にはこだわっていないし、玲奈さんと付き合うのにも結婚を前提とはいい難い、、、今はお互いの関係を考えないで付き合っていきたい。その上で今後を考えたい」
舞衣は「3人の友情関係で付き合うことにしたらどうですか?」
「そうですね。今は何も答えが出せませんから、、、」友也も玲奈も舞衣の答えに妥協した。
その後は3人はお互いの学生時代の話とか現在の他愛のない話をして時間を過ごした。
そして、三人は10時を過ぎたところで解散して自宅に帰った。
友也が自宅に付いてからしばらくして、舞衣さんから電話があり「玲奈さんと貴方が知り合いだったなんてビックリした。そして、2日前のこと話さないでいてありがとう」
玲奈は「結婚について前向きだったのでこのことは話さなくて良かったの」
「そうだったんですか?」
「お互いの友情を壊したくなかったの」
友也は「このことは話すことはないですね」
舞衣は「今後もよろしくね」そう言って電話を切った。
そして、この関係は長くは続かなかった。
それから1週間後に玲奈さんは会社の同僚と金沢に旅行に出かけ、高速を抜けて雪道をホテルに向かい走行中に同僚がカーブで急ブレーキをかけたことから激しく回転をしてトンネルの入口に激しくぶつかり、車の炎上とともに爆発して中に居た3人は即死した。
その後から来た乗客から警察に連絡が入り、この事故がわかった。
初めは乗っていた乗客が誰だかわからなかったが、警察で車から調べて、3人の乗客が分かり、舞衣さんのところに連絡が来て、舞衣さんは友也さんに連絡して、現場の警察に向かい玲奈さんの遺体に対面した。
中に入ると3人の家族が遺体に対面して涙に濡れていた。玲奈さんの家族も来て荒れ果てた娘を見て、涙していた。
舞衣は一週間前に会ったばっかりでこんな姿になり、悲しい限りだった。
友也もがっくりと肩を落として何も言えなかった。 その後、玲奈さんの亡骸は荼毘に付され、海の見える墓地に移された。
あれから1年が経ち友也と舞衣さんは結婚をしてその年の夏に玲奈さんの墓に二人が結婚したことを連絡した。
その時にふっと、玲奈さんが現れたように、、、
そして、幸せになってね。今度は私の分まで幸せになって下さいと言っているようだった。
恋風が二人を祝福しているように肌に触れてきた。
恋風 海翔 @ukon9
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます