遠足は家に帰るまで 

@159roman

遠足は家に帰るまで

 11月某日。窓から空を見上げる。


 「快晴!」


 絶好の遠足日和である。


 私は年に一度、自主的に遠足に出かける。

 いつもはショルダーバッグを持つところ、小さめのリュックを背負う。お財布とタオルハンカチとティッシュ、それと小さめのポーチ。飴ちゃんも忘れずに。


 自宅から電車で二駅先の駅に着いたら、ここからがスタート。

 目的地はお寺。往復2時間弱の大人の遠足のはじまりはじまり。


 歩く。歩く。歩く。ひたすら歩く。

 途中コンビニで飲み物を買う。普段は飲まない栄養ドリンク系炭酸飲料。ビタミンやクエン酸がたっぷり入っていて歩く力が出そうだから。

 

 そういえば、いつかの遠足ではホットスナックを買い食いしたこともあったっけ。今日は飲み物だけでいいや。


 買い物を終えたら、また歩く。周囲の景色に目をとめながら歩く。時間にとらわれず、ゆっくりと歩く。


 一人気楽な大人の遠足。寄り道も自由自在。


 横を走り去る車を見送りながら、歩道を歩き続ける。変わらない景色。変わった景色。確かめるように眺めながら歩く。


 初めてそのお寺にお参りに行ったのは、2月の下旬だったなぁ。境内に植えられた柚子の香りが印象に残っている。


 夏の炎天下に遠足を決行した時は、保冷タイプのペットボトルホルダーを持って行ったのにすぐにぬるくなったなぁ。


 梅の季節、桜の季節、いろいろな時期に遠足をしたけれど、秋の遠足が歩きやすい。カサカサと落ち葉を踏みしめるのも楽しい。


 秋晴れの空は高く澄んで、空気もおいしい。最高!


 小さな山を越えるような坂道では、少し息切れしてしまう。日ごろの運動不足を反省。


 歩きながら脳内では「となりのトトロ」の挿入歌『さんぽ』がエンドレスで鳴り響く。蜘蛛の巣はくぐりたくないなぁ、なんて詮ないことを考えたり。


 ゼェハァ言いながらラストスパートでお寺に到着。長い階段を上り切り、山門をくぐる。


 静謐で清浄で厳かで、自然と「ありがたい」という気持ちが湧きあがる。

 お線香の煙を浴びて、お参り。ご挨拶と感謝と願い事。


 境内を散策する。気持ちの良い空気を肺いっぱいに吸い込むと、自分も清浄になった気がする。

 

 いつかの遠足で出会った猫ちゃんに再会できないかと、散策するも未だに再会ならず。


 そうして帰路に就く。少しオレンジがかった日差しの下、また坂道を上ったり下りたり。目的を果たしたことで、やり切った気分で足取りも軽い。気持ち的に。実際は疲れてゼェハァしてる。


 帰りの道は、行きとは違った景色に見える。

 不定期営業の雰囲気のあるカフェは、まだ入れずにいる。


 通り沿いのケーキ屋さんで、お土産に焼き菓子を買うのも遠足の楽しみ。

 そんなこんなで駅前に到着。


 「家に帰るまでが遠足です」


 ここからは遠足後半戦。駅前ショッピングモールに突撃だ!



 明日はきっと筋肉痛。

 そんなところも大人の遠足。

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