概要
「語れる体験」より「語らなくていい生活」を
シリーズエッセイ「こだわりを捨てて生活を軽くする」 3
2,800円のフライパンを買った。特別な機能は何もない。けれど、それを使ってから台所に立つのが楽になった。失敗しにくく、手入れもいらない。そこにあるのは、やる気を必要としない「生活の静かな肯定」だった。
ふと見れば、台所の隅には「焼き入れ」だけして放置された中華鍋が眠っている。かつて友人と熱く語り合った、道具の扱い方や通過儀礼。私たちはいつの間にか、料理をすることよりも、その工程を「語れること」を重視してはいなかったか。
道具が語るための装置にすり替わり、生活よりも話題が優先される状態。それを私は「中華鍋症候群」と名付けた。 SNSでの共有や丁寧な暮らしの呪縛から離れ、何も象徴しない、けれど確かな手応えのある道具を選ぶ。現代特有の
2,800円のフライパンを買った。特別な機能は何もない。けれど、それを使ってから台所に立つのが楽になった。失敗しにくく、手入れもいらない。そこにあるのは、やる気を必要としない「生活の静かな肯定」だった。
ふと見れば、台所の隅には「焼き入れ」だけして放置された中華鍋が眠っている。かつて友人と熱く語り合った、道具の扱い方や通過儀礼。私たちはいつの間にか、料理をすることよりも、その工程を「語れること」を重視してはいなかったか。
道具が語るための装置にすり替わり、生活よりも話題が優先される状態。それを私は「中華鍋症候群」と名付けた。 SNSでの共有や丁寧な暮らしの呪縛から離れ、何も象徴しない、けれど確かな手応えのある道具を選ぶ。現代特有の
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!暮らしは「ただ」の積み重ねでできている
読み終えたあと、なぜか台所を見回したくなりました。
一番心に残ったのは、中華鍋を見つめる場面です。道具を前にした静かな時間なのに、人の気持ちまで映しているようで、不思議と引き込まれました。「使うこと」と「語ること」の距離を、こんな身近な題材で描けるのかと驚きます。押しつける言葉は一つもないのに、読み終える頃には自分の暮らしや選択をそっと振り返っていました。料理の話だけでは終わらない、生活そのものを見つめ直すエッセイです。
派手な展開ではなく、小さな発見がじんわり心に残る作品なので、ぜひ一度読んで、この静かな余韻を味わってほしいと思いました。
【レビューコンテスト応募】 - ★★★ Excellent!!!道具は使ってナンボ、日常的に使うものなら尚更使い勝手が大事
私が小学生だか中学生だったかの頃にもありましたねぇ、中華鍋ブーム。
確かその時の火付け役は「ためしてガッテン」だったような気がします。
番組の口車に乗るようにして、ウチの祖母も買っちゃいましたよ、中華鍋風フライパン。
割と長い事使っていたような気がしますが、あれって結構重いんですよね。
次第に祖母も「重くて疲れる」と言って使わなくなりました。
代わりに使うようになったのは、ステンレス製の軽いフライパン。
やっぱり普段使いするようなものなので、取り回しがいいものの方が勝手が良いのでしょうね。
手入れも楽そうでしたし。
で、結局できる料理の味もそんなに大して変わらなかったりするので、結局は実用…続きを読む