ファイヤーブーケ

熱狛黎愛

第終話 夕焼け

夕焼けに艷やかな黒い三つ編みが揺れた。

「ねぇみこ。」

彼女の目は揺れていた。

「私はさ、あんまり凄い人じゃないけどさ」

旗箱桜〈はたばこ さくら〉の瞳から零れ落ちた水晶に、夕焼けが映る。

「役に立てるかもしれないんだよ?」

首を振った。

「かも、じゃダメなんだよ。サクは人に絶望したことがあるとは言えないでしょ?」

ねぇサク。理解しようとしないで。お願い。

「でもね、貴方は人を呪えない」

そう、貴方は、

「人間としてのパーツが足りないんだよ。」 

だから、もう忘れて。そっと私の唇が動く。

「刻まれた心を復元せよ。我儘な時に制裁を」

彼女の瞳から水晶が消えた。不思議そうに私を見つめる。そして私は、こう言った。

「またね、サク。」

――――――――――――――――――――――

「相っ変わらずしけてんねェ命」

結錐風手〈ゆいぎり かざて〉はそう言って、白髪を風に乗せた。

「まァ、当たり前かァ。」

そう言って彼は肩を竦めた。

「皮肉だろ?」

私はそう言った。

「あァそうだよ。桜にとってのヒーローだった君が、今や対立してヴィランになっているだなんてねェ。」

そう言って、カザは私に缶を投げた。

くるりと回って、私の手のひらに缶が収まる。

私の好きだったミルクティー。

やっぱりこいつは卑怯者だ。

いつまでもこいつの隣が見えない。

本当に、そんなところが、そういうアンタが、

「大好きだったよ、カザ。」

私は、言葉に精一杯の毒を詰めて、そう言った。

いや、言ってしまった。もう、後悔してはいけないのだろうか。

「僕もだよ」

本当は喜ぶべき言葉は、虚しく宙を漂って霧散

していった。この日見てしまった夕焼けは、何時までも忘れたくない。

――――――――――――――――――――――

―かさり。

白い菊が置かれる音がした。

鍛冶職人、風雪絵錐は星になってしまった。

今まで、夕焼けよりも星空が好きだった。

でも、もう嫌いだ。今は、夕焼けが好きだ。

理由は分からなかった。星空を好きになったら、

星になった風雪絵錐に会えるかもしれないのに。

――――――――――――――――――――――

親友を失い、失恋し、仕事仲間が死んだ。

もう、無理だ。限界だ。

・・・魂が黒く濁っていく。黒く濁りきった魂は、

私を作り変えた。

この世で最も醜い呪いの女神【ステラ】。

貴方はステラについて知っているか?

――――――――――――――――――――――

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてお願い助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けお願い助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けてお願い助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けお願い助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して痛い許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して痛い許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して痛い許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して









・・・待ってるから。



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