掃除
白川津 中々
◾️
最近部屋の汚れが気になり、つい細かな部分まで掃除をしてしまって、まるでホテルのように清潔な生活空間が維持されているのだった。
思い返せば母親も自殺する前無闇矢鱈に掃除機をかけたりしていた。きっと不安で拠り所のない人生を少しでも心地良くしようとしていたのだろう。
彩りのない毎日。飯と酒で誤魔化して、時間だけを重ねる日々。虚無感と、これから先に訪れる不安に心が挫け、揺れるロープの夢を見る。母は死ぬ時に何を思ったのだろうと考えていたが、きっと何も感じられないほどに、現実が色褪せてしまったんだと、理解できてしまうのだ。
俺が死んだら誰が掃除をするんだろう。
掃除の終わった部屋。無意識に天井を見上げると、母の影がちらついた。
俺の番は、明日か、明後日か、それとも……
掃除 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます