写真には写らない美しさ

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　いつもと違い、電車はガラガラだった。

　年末。一般企業は仕事を納めている。稼働しているのはエッセンシャルワーカーやシフト制の方々。あるいはエンタメ系の人間だろう。見渡せば確かにそういう業界と思われる人々がちらほらり。年の終わりも始まりも働かなくてはいけない。まったくご苦労なことだ。まぁ、俺もそうなのだが……

「年末年始くらい休ませてほしいよなぁ」

　人少ない車内でボソリと呟く。いつもより人がいないため、自分の声がしっかりと耳に入って、より虚しさが増す。

　しかしこの仕事は俺しかできないのだ。夢を届け、夢を実現する。それが役割であり使命。今電車に乗っている出勤途中の社会人と同じく、休むわけにはいかない。

「次は新木場〜新木場〜」

　……乗り換えだ。

　ここまではガラガラだったが、乗り換え先は平日朝のピーク時と変わらない混雑具合。皆、それだけ夢を見たいのだ。ならば働かなくてはなるまい。それがエンターテイメントなのだから。

　向かうは舞浜、夢の国。年末年始も働きマウス。