第4章 異星人ガールズ? トーク
「来いよ、って何処に連れてくつもりよ」
「良いから、直ぐそこだって」
ローザは純の手を取って歩き出す。
「ちょっと引っ張らないでよ。アタシ誘拐されちゃうの、ってアレ?」
ローザは家の裏口の前に純を連れて来た。
「着いたぜ」
「着いたぜって、近すぎるわ! この寒い時に外に出て行くつもり?」
ローザは黙って裏口のドアを開ける。
「だから、寒いって。・・・・アレ、寒くない?」
ローザが開けたドアの向こうには明らかに人工的な白い通路がある。
ローザは何の
「お前も早く入れ。お前が入ったら元の場所に移動するから」
純は呆気に取られていたがローザに続いて通路の中に入る。警戒心よりも純の知的好奇心の方が上回ったのだ。
「意外にすんなり入ったな。さすが「ネオ」だ。ちょっと
ローザがそう言うと通路と裏口を繋げていたモノが閉まる。
ブーンと言う小さな音がして純の
「キャッ!」
しかし、それは一瞬の事で平衡感覚はすぐに元に戻る。
「大丈夫か?」
身体のすぐ後ろから声がするのでビックリして純が振り返る。
そこにはローザがいて、両手で純の腰を支えてくれていた。
それを見た純は、とても嬉しい気持ちになる。
「ありがとう。やっぱり、ローザちゃんは優しいね」
「貴重な
ローザは少し照れたような口ぶりで前に立って歩き出す。
純も「ローザちゃん、照れてるぅ」とか言いながら後に続く。
歩きながら純は「ねぇ」とローザに尋ねる。
「コレが、ローザちゃんが言ってたマシンなの?」
「あぁ、この惑星を監視する為に使用してる乗り物。こっちの言葉だと宇宙船かな」
その言葉にも純は「ふーん」としか言わないで白い通路を歩いている。
ローザは「いや、ソコは突っ込まないのかよ」と思いながら立ち止まる。
また、ブーンと言う音がして扉が開く。
ローザは「入れよ」と言いながら先に扉の中に入る。
続いて純も入る。
「うわぁ。アニメみたい」
純の言葉通り、そこは正にアニメの中に出て来そうな指令室のような空間だった。
大きなスクリーンから少し離れた場所にあるコントロールパネルを使用するようなソファーにローザは座り「座れよ」と純に言ってパネルをタッチする。
現れた白い四角い物体に純が腰かけるとソレは少し沈み込みながら背もたれと肘掛けに変形してソファーになる。
ソファーに座った2人は「フーッ」と深い息を吐いてから互いに見つめ合う。
コホンと咳払いをしてからローザが沈黙を破る。
「えーと、聞きたい事は山ほどあると思うけど、それはヘッドギアからお前の脳にデータを入れた方が早いと思う。俺が聞きたいのは、純。お前自身の事だ」
ローザがまたパネルをタッチすると純のソファーの中からヘッドギアが現れる。
「アタシの方が聞きたいわよ。「ネオ・ホモサピエンス」って何よ」
ローザの眼がスッと細くなる。
「お前は「カンが良い」と言われないか? 学校でも、この村でも」
「そんなの幼い頃から言われてるよ。それが何?」
ローザは「やはりな」と呟き言葉を続ける。
「それは「カン」では無く未来予測だ。今の状況を的確にデータ化して過去のデータと照合して何十何百のシュミレートをして、その中からお前の独自思考が最適解を導き出す。無意識下でな。この処理能力は量子コンピューター並みだし、お前の独自思考は俺にも説明できない。それで、お前の髪の毛からDNAを採取して調べさせて貰った」
「何、勝手な事やってんのよ! アタシのDNAちゃんに!」
純の感情が激しくなる。
「髪の毛1本くらいでガタガタ言うな! あ、いやスマン。それでだな。お前のDNAの配列が「他のホモサピエンス」とは明らかに違うんだ」
「え? それってアタシが「ホモサピエンス」じゃ無いって事 ? そんな、そんな」
「落ち着け。お前の身体は「ホモサピエンス」だ。俺が「ネオ」って名付けたのは今までの人類とは、ちょっと違うって事だ。突然変異の可能性が高いが、生物の進化は突然変異を繰り返して進化したんだ。だから、純。お前は人間なんだよ。そんな顔するなよ・・・・」
つづく
あなたに惹かれ私たちの魂は未だ見えざる光をめざして飛翔する 北浦十五 @kitaura
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