あとがきのあとがき&長編版冒頭公開

 短編への多くのコメントや★を有り難うございました。


 ※完結設定にするのを忘れていて、急遽このページを追加しました。


 現金なもので、読みたいと言ってくださる方が増えれば増えるほど、俄然やる気が出てくるものですね。


 『混沌の騎士と藍碧の賢者』は恐らく残り70~80話程度で完結予定です。2026年中には何とかしたいところで。これが最優先です。


 次に書きかけの現代ファンタジーを、と考えていましたが、それよりも先にアシェリーテアを書いていこうと思っています。


 今はストックがない状態なので、10万文字程度は書き終えてから、時期的にはカクヨムコン11の読者選考が終わった2月中旬以降を第一目標にしています。


 

 期待値が上がるかはさておき、まだ粗いですが、冒頭1000文字程度を先出し公開しますね。



◇  ◇◇  ◇  ◇◇  ◇



 長編版 アシェリーテアの物語(仮題)




 闇に覆われた樹海深部、銀蒼水ぎんそうすいの巨大な球体にくるまれて、一人の少女が眠っている。身体を丸めて小さくなった姿は、母の胎内にいだかれた赤子にも見える。


 天に浮かぶ雲のごとく彷徨さまよう姿は、死人しびとを想起させた。


 腕の隙間を通して垣間見える胸が上下動している。



 少女は、確かに生きていた。


 水で完璧に覆われた球体内で、いかにして呼吸しているのか皆目見当もつかない。



 球体の周囲には湿った大地と樹木の香りだけが漂い、鳥のさえずりや獣の足音さえも届かない中、少女の眠った姿が空間に溶け合っていた。


 僅かに朱に染まった少女の頬は、差し込んでくる銀の月影を写し出し、長い睫毛まつげは羽根を休めた鳥のように伏せられている。


 細い唇は閉じられ、それがかえって静けさを強調していた。





 どれほどの歳月が流れただろうか。


 球体内を満たす銀蒼水が突然音もなく波打ち、少女を中心にして左右に揺れ始めた。


 断続的に続いた後、長きにわたる静寂が破られる。


 球体に亀裂が走り、正しく正円を描くと同時、大音量を奏でて破砕した。



 少女は感覚に訴えかけてくる姿なき複数の声に起こされ、覚醒に近づいていた。


 何かが脳裏を刺激してくる。それは懐かしい記憶の断片だ。


 ゆっくりと重なり合い、結合していく。



 完璧な形状を取り戻した時、少女は完全に覚醒した。



「時が満ちた。次代が誕生したか」



 大地に足を下ろした少女がつぶやきを落とした。


 先ほどまで己を包んでいた銀蒼水の球体は跡形もなく失われ、中身の全てが大地にばらかれている。


 ゆるやかにまばたきを繰り返す少女の切れ長の瞳は神秘的な蒼をたたえ、美しく澄んでいた。



此度こたびはいかほど眠ったか。肌感覚からして、せいぜい数十年足らずといったところか」



 銀糸に蒼を溶け込ませた艶やかな髪が、光の届かない樹海で粒子を散らしながら輝いている。



「約束を果たさなければいけないね。さて、あれはどこへやったかな」



 少女は視線をあちらこちらに巡らせる。



「見慣れない樹々が増えている。根元には鮮やかなきのこたちか。うん、間違いないな」



 ほのかに発光する茸が漆黒に包まれた大地を照らし、まるで道案内をするかのごとく陽気に歌い続けている。



「気がくね。茸諸君、ご苦労様だよ」



 嬉しそうに傘を揺らす茸たちを見て、少女はこれ以上ないというほどの微笑を浮かべてみせた。



◇  ◇◇  ◇  ◇◇  ◇



 まだ書き殴りの推敲なし版です。肉付けはこれからになりますが、いかがだったでしょうか。雰囲気は何となく感じ取れるのではないかと。


 ここから短編の続きへと繋がって、物語が本格的に動き出します。少しずついろいろなことも明らかになっていきます。


 全体的に海外ジュブナイルファンタジーのトーンになり、ダークな部分もありますが控え目です。



 時間はかかりますが、気長に長編版をお待ちいただければ幸いです。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編版 アシェリーテアの物語 水無月 氷泉 @undinesylph

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ