〇気紛れな相談屋

「満足した?」

「うん」

「そっか」

「聞いてもいい? 私人を殺したのに天国に行けるの?」

「君のはあくまでも対価としての殺人だしね。ただの人殺しとはわけが違う」

「ふふ……ご都合主義な世の中ね」

「そんなもんだよ、この世はみんなが思うほど清くはない。事務的に、セカイは回っているのさ」

「そっか。じゃあ、私そろそろ行くね」

「約束は守ってね。対価なんだから」

「うん、頑張る」

 にっこりと微笑み、綾子は消えた。


※※※


「やれやれ、難儀なセカイだねえ」

 アパートを出て、自販機で買ったコーヒーを飲む。ポケットで何かが震えている。スマホだ。

「ふう」

 一息吐いて電話に出る無頼。

「もしもし、気紛れな相談屋ですよ」


                   終

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気紛れな相談屋のようです 璃亜里亭 無音@ティオンヌマン @tio410

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