それっきり

うっかり

それっきり

緑雨とは我を掠りもせぬものか

麦秋の列車カーブにさしかかる

天道虫手に這わせたる待ち合わせ

さよならを我慢している水澄し

ソフトクリームの螺旋に空の遠さかな

手はすぐに汚れてしまう雲の峰

青空の嘘に飽きたり白ビール

べちゃべちゃと泣きゆく蝸牛だった

旅に出て昼の楽しき暑さかな

その枇杷が美味しいとだけ返信す

蛍火の黄の強ければ冷たからん

ゆっくりと生きて鱧なぞ食うており

朝涼し茶碗一杯分の飯

蜂蜜に光ぎっしり夏至の雨

雨の日は水ばかりなり立葵

やさしさの途切れしところ濃紫陽花

それっきり午後は静かな苔の花

空蝉に掴まれている時間かな

濃厚な水のぬるさの水着脱ぐ

街にビル余らせている夏の果

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それっきり うっかり @ukkari575

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