あなたは、何をもって「悲劇」と呼びますか?


本作は、13世紀のキリキア・アルメニア王国の女王ザベルの人生を描いた、歴史ファンタジー作品です。
浅学な私は知らなかったのですが、彼女は文字通りの「悲劇の女王」としての過酷すぎる人生を歩んでおります。

「歴史」、「悲劇」と、馴染みのない方は、ためらってしまうワードもありますが、そこはご安心を。歴史に馴染みのない方も入りやすい、わかりやすくて美しい語り口の作品です。

特に、作中で語られる「杏は、木から遠くに落ちない」という格言が、印象的でした。希望の言葉ようにも思えるのですが、見方によっては呪いのようにも思えてしまって。まるで彼女の人生に絡みつくみたいに、彼女自身を象徴する言葉のようにも思えてしまうのです。

最後に質問を1つ。
本作を読んだ方に、この質問を投げかけたくなりました。

「悲劇の女王」は、自分の人生のどのシーンをもって「悲劇」と呼ぶと思いますか? と。

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