歴史は残酷、愛とはなんだろう。

13世紀のキリキアを舞台にした物語です。

物語全体を通してですが、歴史的背景の描写が緻密です。昔そういえば習ったなぁ、みたいな記憶が、きっと誰の脳裏にも浮かぶはずです。

それでありながら、人物の感情が鮮やかに浮かび上がります。それが、時に幸せで、時には非常に残酷です。まるで人生そのものです。

「杏は、木から遠くに落ちない」

という象徴的な言葉が、ザベルの一生を貫く軸となります。

幸せな日々から一転し、愛する夫フィリップの死、摂政コンスタンティンの謀略、そして修道院での葛藤、望まぬ結婚へと続く展開は痛ましく、歴史の渦に巻かれていく1人の女性の物語として時には酷で、読んでいて辛くなる瞬間もありました。

この時代の女性は、こうだったのかもしれません。そして、男性も、おそらくこうだったのでしょう。

愛とはなんだろう、そんなことを考えさせられました。

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