レビュータイトル通り、ほんとに天気のようにころころと感情を変化させてくれるエンタメホラーです。
それぞれのキャラクターたちが生き生きしているので、サブキャラ含め登場するたび愛着が湧きます。かつ、彼らが話を追うごとにバックボーンや性格が深掘りされ、気づけばみんなに感情移入しちゃってました。
登場人物たちはみんなそれぞれ元気なのですが、やはり背負うものやら人間の怖さと言うのも垣間見られ、良い塩梅で楽しませてくれます。そしてより一層主人公と相棒の絆が深まっていくのが嬉しく、これからの続きも本当に楽しみです。
また、怪異もそれぞれ魅力的で、この後どうなっちゃうのだろうとワクワクさせられますので、怪異好きな読者様にもおすすめです。
物語はそれぞれ章ごとに区切られておりますので、これからの読者様にはぜひともお気に入りのストーリーを見つけてほしいなと思います!
ほぼファンレターのようなレビューです。
当方、106話読了
全人類に読んでほしいという思いを込めて書いています。
まずは文章! 話の中身より1番大事だと思っています。こちらの作品、読みやすく綺麗で、無駄に難しい単語も使われておらず、ノイズになるものが一切ありません。スっと読める親切な良い文章です。
一人称視点の語り口もコミカルで、ところどころ「ふふっ」と笑わせてくれる、笑いを誘うテキストが盛り込まれているのがすきです。
そういった小休止も相まって、堅苦しさを感じずグイグイ読み進めさせる力を持っています。
娯楽小説として100億点です。
次に中身のセールスを始めます。
この物語のジャンル、ホラーですが、色んな種類のホラーがよりどりみどり。
幽霊、怪奇現象、おまじないや降霊術、宇宙人、人怖、異界etc……
どれも怪談としての出来がよく、目次を眺めてるだけでワクワクします。
「背面ゆびきり」「指さし幽霊」「裏ハウスルール」「異界行き電車に乗って」
ホラー好きな貴方、気になりませんか?
体験者による報告書が付いていることもあり、それがまた考察が捗ります……全容は明かされずまだ謎が残る所も良い余韻になっています。
大好きです。
1話1話の切り方も上手く、先が気になります。また、前話との緩急で思わず「やられたッ!」となる構成の巧みさに唸らされる回もございます。
ホラー好きにはたまらない、この展開すき〜! も散りばめられており、ニヤニヤできること間違い無しでしょう。
そしてホラーだけではありません。
このホラー、熱いんですよ。主軸となる2人のキャラクター達はそれぞれホラー絡みで抱えているものがあって、そこからの脱却、決別もメインストーリーとなっています。
独りで懸命にもがき苦しんでいた少年達が出会って、友情が芽生え、お互いにそこから引っ張り上げ合う展開が本当にアツイ!!
まさに、友情・努力・勝利!!の少年漫画要素を揃えた素晴らしいストーリーとなっております。
ますます気になりますでしょう……!?
その魅力溢れるメインキャラクター達のご紹介です。
まずタイトルにも居る、上野くん。
ピカピカの高校1年生。オカルト大好き! オカルト案件に対してはちょっと頭のネジ1本飛ばしてる命知らずですが、めっっちゃ素直で優しい、いい子です。
ちょっと(かなり)お馬鹿なところが可愛い。
でもいざという時に見せる姿とのギャップがたまりません……その姿は是非その目で見てください。
そして、もう1人モノローグを担当することが多い神田先輩。
上野くんの1つ上の2年生。人ならざるものが視え、ちょっとした霊なら祓う(お酒ぶっかけ、酒瓶でぶん殴る)ことが出来ます。怪異相手や命知らずの後輩にはかなり口が悪く、上野くんもヤグザみたい……と思っております。
怪異相手の信条は「ナメられたら分からせる」です、もちろん暴力で。
そんな粗暴さが目立つ先輩ですが、それ以外の人間にはきちんと礼儀正しい1面ももつ良い子です。人には優しく、怪異相手にはいつだって殺意と煽りを忘れないスタイル。好きです。
そしてその、怪異への粗暴な振る舞いにも訳がしっかりあります。是非お確かめください。
単にキャラ付けではなく、経験を元になるべくして身についた振る舞いというキャラクターの厚みがしっかりあるのも私大好きなポイントです。
最後に2人を取り囲む、オカルト研究部のメンバー達も単なる脇役と言えない、魅力溢れる素敵なサブキャラクター達です。
特に好きなのは我々一般人代表、感性が近く親近感のわく目黒くんと五反田くん。
どこか掴めない、底が知れないけれど、思慮深くて味方に居ると心強い、そしてオカルトに関してはネジは数本飛んでいるオカルト研究部部長の秋葉先輩。
そして秋葉先輩含む幼なじみ3人組の先輩方。彼らの関係値も長年の付き合いを感じさせる空気感が大変すきです。
長くなりましたが、ここまで読んでくださった方はきっと気になって下さってる方に相違ありません。
迷うな、読め……!!
絶対後悔しませんから!!!
カクヨムで1番大好きな作品なんです。
応援コメントの半数近くが私なのですがほとんど全てにお返事してくださって、クソ長考察(ほとんどへっぽこ推理)にも、丁寧に返信してくださる、優しい作者さまです。
私後からきた他の人の考察を読むのも好きなので是非残してください。
以上、ラブレターでした。
追伸:全人類読め!!!!!
魅力的なキャラクターに彩られたオカルト連作短編です。
主人公である上野の入学年度だけでも、
底抜けの明るさの裏に罪と呪いを抱える上野、
粗暴さの奥に「普通」にふるまうことへの臆病さを隠す神田、
圧倒的パワーで怪異をねじ伏せるがどこか抜けてる恵比寿、
超人的で底の見えない「化け物」高校生である秋葉部長、
分け隔てない陽キャコミュ力お化けだが好奇心に呪われている高田、
命知らずになれない部員の模範となる毒舌常識人の馬場、
オカルト優等生としての自負から同級生の上野に愛憎を抱く目黒、
優れた知識と観察眼をもちつつも超絶ビビリな五反田、
粗忽で小物だが憎めない、愛すべきおもしれー女枠の田端、
300話くらい呼んでも何もわからない、存在がオカルトみたいな大崎
などが登場します。サザエさん時空ではないので、物語が進むと新入生も入ってきます。
短編やエピソード毎に一人称視点のキャラクターが変化するのですが、その書き分けがとても自然で、内面描写や関係性およびその変化を楽しむことができます。
キャラクター同士の関係性、好奇心や呪いとの付き合い方、因果応報などの料理の仕方は非常にバラエティ豊かであり、概要に「作者の趣味・性癖全開」とはありますが、作者の趣味の似通った展開に延々と付き合わされている、というようなストレスは感じません。
個人的には「生きていてよかった」とはどういうことか、がさまざまな側面から描かれている点が印象的でした。
各短編は、著名既存ホラー・オカルト作品の換骨奪胎ではなく、作者の創作怪談をベースに展開していきます。神話・伝承由来のモチーフが用いられることも多く、ライトな読み味でありつつも、骨太で奥行きのある世界観を感じられます。
ホラー・オカルト的題材の設定が、短編毎の人物の掘り下げ・変化を盛り上げるよう緻密に(例えば、怪異の成り立ちとキャラクターの歪みの原因が対を成すように)練られている点も、キャラクターを楽しむ作品として優れていると思います。
ライトホラーではありますが怪異はちゃんと殺しに来ており、祓い屋の能力も通じたり通じなかったり緊張感があります。
「ゆるコワ!」や「師匠シリーズ」といったエンタメオカルト連作短編作品を好む人にはとくにオススメできるでしょう。
以上、300話あたりまで読んでの感想です。ちなみに私は秋葉部長と田端が好きです。
まるで、王道の少年マンガを読んでいるような気分で、夢中で読んでしまいました。
本作は、「ホラー」ジャンルなのですが、登場人物たちは、ただ怪異を恐れ翻弄されるだけではありません。
なにせ主人公の男子高校生:神田先輩は強い霊感があり、見習い中とはいえ、弱い幽霊なら自力で除霊してしまいます。
……幽霊たちに、除霊用に清めたお酒と、大量の罵詈雑言を浴びせかけながら、ですが(笑)
彼の相棒たる存在の後輩:上野くんは、霊感は無いようですが、タイトル通りに厄介な「呪い」を抱えています。しかし、彼も「呪い」にただ振り回されるだけでなく、抗い、時に利用してみせているのです。
そんな二人を中心に、少年バトルマンガもかくや、という胸アツな展開を見せているわけでして!
物語は、神田先輩と、後輩の上野くんの二人が、いろいろな怪異に遭遇する連作短編集です。
ホラーなので、身の毛のよだつようなおぞましい怪異がいくつも登場するのですが。
神田先輩と、上野くんの高校生らしい絆を感じるエピソードも盛りだくさんです。
実は、ちゃんと最新話まで読み進めてから、レビューを書くべきか、と思っていたのです。でも、「クソ腕虫リベンジマッチ」編まで読んでたらもう……我慢できなくちゃったのです。
だって、背筋の凍りつくホラーの後に、胸アツの青春ストーリをぶちかませられたらもう……!完全にノックアウトされちゃったというわけでした(笑)