概要
唯一の支えだった婚約者は、理不尽に処刑された。
翌朝、広場に晒された亡骸を見て、没落令嬢ルシアは誓う。
この国を、彼を裁いた王族を、地獄へ突き落としてやると。
彼女に残されたのは、婚約者の遺した最強の竜種(ドラグマキナ)・火竜カグツチ。
人の姿と竜の力を持ちながら、長い進化の果てに怒りという感情器官を失った彼は、ルシアの絶望に呼応し、彼女の復讐の剣となることを望んだ。
救いのように差し出された手は、愛ではなく、生存のための構造(システム)だった。
ルシアは竜を道具にすることだけは拒み続ける。
人と竜は同じ言葉で感情を語れない。
最強の業火を傍らに置きながら、それでも自らの手で、仇の首を取るために。
復讐の果て、すべてを焼き尽くした後――少女は、自らの手で幸福を定
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しく退廃的な世界観がドラマチック!
2章59話まで読ませていただきました。
とても長い旅路ではありますが、作者様の筆力でとても読みやすく、言葉選びや比喩表現のセンスも抜群で、酔いしれながら読み進めることができます。
しかしそれだけではありません。
序章から、たくさんの伏線が無数に散りばめられています。
後半に行けば行くほど、世界観の謎や竜種の違和感、引っかかっていたものが解き明かされていき、非常に気持ちの良いカタルシスを味わうことができます!
序章の読者を引き込む構成の巧みさが、物語そのものにもしっかり息づいています。
出てくるキャラクターも魅力的で、私のお気に入りは……内緒にしておきます、笑
一章の山場であろうシー…続きを読む - ★★★ Excellent!!!繊細かつ大胆な設定と、タイトル回収が楽しみになる導入!
衝撃的なプロローグがまず強烈でした。
“終幕”と呼ばれる惨劇を竜の視点から描き切ることで、読者の心を一気に物語へ引き込んでいます。
処刑場の血の匂い、群衆のざわめき、原型もなく転がる「大切な人間」という残酷な情景は、導入として忘れがたい印象を残します。
そして最後に放たれる「――ルシア。君は、オレの臓器(いかり)だ」という不可解な言葉が、伏線としての強いフックになっているなと感じながら読み進めました。
本編では、貴族遊戯ドラグデュエルや竜継の儀といった制度・世界観が丁寧に提示されることが印象的でした。それが決して、固い設定説明に終わらないところは、やはり筆の力と言えるのでしょう。
ル…続きを読む - ★★ Very Good!!繊細で気品を感じるファンタジー
ファンタジーですが、こういうのを「悪役令嬢もの」というのでしょうか? その辺り、詳しくないからよく分かりませんが、今作は読み手をルシアに感情移入させるための導入が順序を踏んで書かれており、その構成にまず感心しました。
また簡潔でありながら、繊細でかつ気品を感じる文章もとても優れています。特に第10話のラストには息を呑みました。あえて迂遠に表現することが、これ以上ない信条描写として効果をあげていました。
設定は少し複雑ではあるものの、読んでいれば自然に理解できるように、徐々に世界観を描写しているため、分かりにくいとは感じませんでした。
続きを読みたくなるような魅力が、冒頭から感じられる作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!味わえ、緊張と期待の混沌を。
作者さんの筆力と構成意識の高さが、冒頭からはっきり伝わってくる作品でした!
「――間に合わなかった」
という導入から一気に沸き起こる緊張感。
その後も感情・状況・政治的な危うさを途切れさせずに積み重ねていく流れが、めっちゃくちゃ巧みです!
その腕は世界観や設定の説明にも表れていて、竜を『道具』として扱う周囲と、アルトやカグツチの感情とのズレなど、会話と所作だけで読者に「気づかせる」ような構成になってます。
同じ物書きとして、見習いたいなあと思うばかりです……。
静かな会話劇の中で、王家・貴族社会・竜の価値観が自然に絡み合い、先の展開への不安と期待が同時に残る本作。
完成度が高く、作者…続きを読む