ほとんど非の打ちどころの無い、掌編小説です。
- ★★★ Excellent!!!
これも、良い小説の見本のような作品です。
目の見えない「山田」と、目の見える主人公との、人生の流れの対比を元に、この小説は、語られて行きます。
それは、「山田」との、病気の境遇、生活、貧富の差を超えて、なお、この主人公には、この「山田」を忘れられない。
この思い出は、やがて、この主人公の心の中に、深く潜行して行っています。
そして、あたかも、今でも「山田」が生きて傍にいるかのような現在の主人公。かっての「山田」が、多分、現在の自分を導いていてくれた事を心ひそかに感じながらも、時間だけは、人生だけは、確実に過ぎていたのです。
単なる思い出話としては終わらずに、この主人公は、まるで過去と現在の両方の世界に、同時に生きているかのようです。
不思議な、パラレル・ワールドの世界感。
そこに、現に、生きている人間の心情の詳細な描写。
私には、これ以上、語るべき言葉を持っていません。
何しろ、変態が売り物の、通りすがりの一投稿者ですのです。