山田と少女像はどこへ行った

失われゆく視力の代わりに記憶を焼き付けようとする山田。
瞬きもせずただ一点を見つめて動かないブロンズの少女。
純粋性は寓話の中にだけあり、それらは不純なぼくを決して見ようとはしない。

置き去りにされたのは彼らなのか、それとも僕なのか。
彼らと同じ世界の住人になれる道が、どこかにあったのか。

その問いに答えはありませんが、ともかくも「僕」は大人になりました。
それを「僕」が良しとするかはまた別の話。

純粋性は揮発するもの、ただ寓話の中でだけ結晶するものです。