この世界に残されて

かりそめの父と娘で交わされる何気ない会話の隙間にひっそりと埋め込まれた「君のことが大好きだよ」

互いに思いを寄せ合い、ふたりの間に引かれているのは吹けば飛ぶよな線が一本のみ。

それでもふたりはそれを決して超えないのです。きっとそれは、明莉が未成年だからとかそういうつまらない理由ではないのでしょうね。

賢いことは悲しいことです。生きるため賢くあらねばならないことは悲しいことです。

やがてひばりは飛び立ち、羽ばたいていくのでしょう。それを見送る「俺」の胸に棘をひとつ残して。

そしてきっと、振り返ることもないのでしょうね。


このお話が、多くの人に届くことを願います。