走りガキ
@RENTUMU
第1話
シャカシャカ シャカシャカ
プスー プシュー
あ〜ここ もうちょい オレンジだな
んで ここに 黒 そえて
うん いい感じっ!
出来上がった 力作
最初は 下手くそだった
落書きアートも 最近では随分と
様になってる気がする。
俺は 満足して スケボーを 転がした。
かといって この先 行くとこも
やる事も ないんだけどな。
あ、やべぇ
ポリだ くそ 逃げるか
普通 原付 だよな
そんな 金もねーから
拾ったスケボーなんだけど。
てか まじ 奇跡じゃね?
普通 落ちてる? スケボー。
運命だよな〜。
「頼むぜ? セバス」
この 相棒(スケボー) を セバスと
名付け て 可愛がっている。
時に 頼れるパートナー
時に 話を聞いてくれる 親友だ。
待ちなさいって 言われたって
待つわけねーだろ
お前らに 頼ったところで
なんにも なんねーじゃねーか
くそっ
誰も …
誰も たすけてなんか くれない
目に映る 全ての 人間に
ただ なんとなく 死ねって 思えてくる
あいつも あいつも
あいつも こいつも 死ね 死ね
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
…………。
ポリ も いつもの ように
追ってはきてない
誰も 俺を 見てなんかいない
誰も 俺を たすけてなんかくれない
…。
落書き するか
俺は また 別の キャンパス(白い壁)を
探した。
プシュー ぷ プシュー
1人 おじさんが 話しかけてきた。
なんだよ 注意しにきたんすかね
もう 見ないでくれ ふれないでくれ
ほっといてくれよ
俺は 気にせず アートをつづけた
こう 湧き上がってくる
イメージを そのままに 一心不乱に
ここには 紫だ
ここは この 角度だ ここに 光あてたいな
そうだ ここ ……。
おじさん は ただ 俺を 見ていた
何を言うでもなく 怒るでもなく
ただ 見ていた。
なんだ ビビってんのか
つまんね こんなじじい
アウトオブ眼中。
プシュー プシュー。
できた。
腸が 飛び出た ぬいぐるみクマ
なかなか 上手く できた
…はらへったな。
ちっ 帰るか
「明日も。 ここに 来なさい」
俺が セバスに 足を乗せた時
おじさんが 言ってきた。
なんだよ やっと 口を開いたと
思えば そんな事かよ
俺は 返事もせず
セバスを 走らせた。
ただいま とは 言えねー。
俺が 帰ったのが バレたら厄介だからな
誰にも バレないように
忍び込む。
バレないように 音を鳴らさないように
お? 冷蔵庫 プリンみっけ
あとは カップ麺 が 4つぐらい
うん こんだけあったら
3日ぐらいは 平気だな。
大量 大量
出ていく時 一瞬 怒鳴り声
聞こえたけど 無視だ
逃げるが勝ちってね
あいつらこそ いや あいつ(父親)こそ
本当に 死んでくれればいいのに
お前は 俺の 邪魔でしかない
邪魔しか していない 死ね
なんで 邪魔すんの? なんで? なんで?
うぜぇ ばかうぜぇ うぜぇ
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
もう 何回 思っただろう
何回 祈っただろう。
それでも あいつは ちゃんと 生きてて
神なんていないって
はっきり 教えられたよ
祈ったって無駄だってな
くそっ くそ…。
家を 飛び出して 2時間ぐらい経ったあとかな?
残り充電 15パーの 俺の携帯に
あいつから 電話があったが
当然 無視だ。
おっと 次は 警察かよ
当然無視
暫く しらねー やつから
鬼電
うぜぇ 一言で切る
「うるせぇ 次かけて来たら
殺すっ」
「かぁさんが 死んだぞ」 プツッ。
ツーツーツー ツーツーツー
おやじ。
そうか どうでも いいけど
そうか。 そうか
気づけば 昨日トンネルにいた。
おじさんも 後ろにいた。
シャカシャカ シャカシャカ
プシュー プシュー
「かぁさん ありが」
なんにも 考えず
無意識のうちに そこまで 書いていた
そこまで 書いて 辞めた。
大雨がふってきたから
目の前が よくみえなくなるぐらいの
大雨
その時 とても 大きくい 手が
肩に乗ってた。
「明日も ここにきなさい」
…。
「るせぇ 離せよ」
俺は 逃げた。
誰にもみられたくなくて
誰もいない場所を 探して 探して
逃げて 逃げて…。
結局 たどりついたのは
俺が スプレーアートを 一番最初にした
場所。
ここに ドクロ 書いたはずなんだけど
… ない
真っ白だ。 下手くそながら 気に入ってたはずの ドクロが ない…。
消されたんだ
そっか そりゃ そうだよな
消されて当然だよな。
消されて当然だよな。
はははっ ははははは
俺 おれ … なにしてんだろ。
なに して ん だ
ただ 当たり前の出来事をみて
何時間もぼーっとして
まだ 真夜中なのに
まだ 明日にすらなってないのに
あの トンネルに 向かっていた
!?
びっくりした
「かぁさん ありが」の 周り
沢山の メッセージが 書かれていた
「1人じゃないよ」
「私に 味方はいない」
「お前は 幸せ者だ」
「上司 死ね」
沢山 の 落書き 心の掃き溜め
初めて アート を 感じた
壁の隅に タイトル 「自由帳」って書いた
それに サトル って 名前も。
また 雨だ。
さっきよりも ずっと 暖かい雨。
なのに 晴れてる 気がして
セバスを 走らせて
俺の作品巡りの旅に 出かけることにした。
いかつい ミカン
緑のネズミ
青色の人々 。
時間をわすれて 見て回っていた
その時の 記憶が 蘇ってきて
「セバス 覚えてるか?
こん時は よかったよな?
はは お前 ほんとに 昔からそうだよな」
なるべく 光を避けて
セバスを 走らせる
そして 1番気に入ってる
あの自由帳の 前にもう1回。
「お おやじ…。」
体が 動かない
おやじは 俺の いや 俺たちの自由帳を 消していた。
…
そうか そっか そうかそうかそうか
俺は おれはおれはおれはおれは
おれわぁーーー…。
あいつが いると なにもできねぇ
なら 消すしか 消すしか 消す
消す消す消す消す消す消す消す消す
肩を 大きな 手で 掴まれた。
「やめなさい。
幸せになれないよ」
おじ…さん
「しあわせって って なんすか
ふつう に 普通がいいです
俺だけ なんで こんなん なんすか
どこにも ねーんすよ 俺にっ 幸せなんてっ!!」
つい 叫んじまった
おじさんは なにもわるくないのに
「あ、おい!てめぇコラ!」
おやじが くる。 逃げねーと
「セバス …。」
もう2度と あのトンネルにはいかねぇ
もう2度とあんな家にはもどらねぇ
もう2度とスプレーなんかもたねぇ!
なにをやったって
あいつが邪魔をしてくる
生まれて初めて感じた芸術でさえ
あいつは 消してしまった。
「なんでだよ
どうして どうして どうして!」
ガタッ
ぐへ…。
思いっきり転けた。
久しぶりにぶち転けたなぁ
… セバス? お前。
お前まで 俺を
二つに折れたセバス
そうか もう見方なんて、
俺は起き上がる気力すらない
このまま ここで
「これを食べなさい」
急に 話しかけられた。
心底びっくりして つい飛び起きた。
誰もいないって思ってたのに
あのおじさんが 俺の後ろに立っていた。
もっていたのは コンビニのチキン
「なんだよ これ いらねぇ」
「急遽用意したんだ
こんなものしか手に入らなかった。
それを食べ終えたらついてきなさい」
おじさんが
両手を後ろで組んで 待っている。
…。ここから 何かが
何かが変わるかもしれない。
俺はチキンを飲むように
胃袋へ押し込むと
おじさんに駆け寄った
「ついてきなさいって どこへだよ」
「好きなだけ 君を 表現できる場所にだ。
そしていずれ 誰もが知ってる君になるんだよ。
探していたんだ。君のような才能を。」
〜〜〜〜〜〜〜〜
寂れたフェンス
落書きだらけ の トンネル
線路沿い の 道 。
よくある 電柱 ガードレール
そして ここだけには よくある
花束。 1枚の メモ書き
本当に 苦しかったんだね
申し訳ない なんて 思うことすら
罪 だよね
私は あの人から 逃げ出した
貴方も つれていけば
ここに こんな所に 花が添えられる事なんて なかったのに
ごめんね あんな 場所で 貴方を産んでしまって…。
ごめんね 私なんかが お母さんで
ごめんね ごめんね ごめんね
寄り添って上げられなくて…
どうか 来世では 幸せに なりますように
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