摂理は抑えようもなく……

 政治というのはいつの世も、混迷する宿命なのでしょうか。
 このたび、トンデモない物が禁止になってしまいました。

 ええ。タイトルの通り、秋です。
『人の感情を揺らしすぎるから』だそうです。

 法の力で自然を押さえつけようとするなんて、傲慢この上ありません。
 ですが三千十六年ともなれば、できてしまうようです。
 主人公の実(みのる)は四季の失われた、均質化された環境の中で生きています。

 彼の勤務先は、禁止された「秋」をアーカイブする部署。
 写真や詩などを記録には残すものの、触れてはいけない。

 うんざりするお仕事に見えるものの、順調にこなしておりますよ?
 人付き合いに悩まされる心配はなく、アシスタントのAIユイも優――――おい、何をする!

 結局、すべての物は……波なのでしょうね。
 そんな量子力学のようなことを、思い浮かべた秋でした。

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