第12話
聖キーラン歴1000年、夏。
初春から始まった空の異変はとうとう夏を迎えても尚、酷くなる一方だった。
エデンの中央部にある【エデン聖教会】総本山の聖都キーランではこの夏【エデン天災】の発生が聖法皇の名で正式発表された。
以後エデン聖教会は各地の神殿を人々に解放し、その避難場所とする一方で、
エデン聖教会派の主要拠点である、
東都【アヴェイロ】、
南都【ドーマ】、
西都【カザーリン】の三国に対し、
【次元の狭間】が開いたとされる北方への調査団派遣を呼びかけた。
国が広く動き出す一方で、各地では若者達が傭兵ギルドと組んで北方へ旅立つ動きが活発になる。
彼らの願いは世界を覆ったこの白い悪夢を終わらせたい、その一つだった。
1008年まで続く暗黒時代の到来である。
1000年から始まった、以後八年間の闇の時代には、多くの人間の命が急激に失われて行くことになる。
その中には【次元の狭間】を閉じた英雄エドアルト・サンクロワの名を筆頭に、サンゴール王国の第二王子リュティスの名も連なる。
また、公に記録は残っていないがサンゴール王国においてサダルメリク・オーシェの名で存在した彼も、再びエデンに射し込んだ太陽の光を二度と見ることなく死亡した。
【終】
その翡翠き彷徨い【第62話 聖キーラン歴、1000年】 七海ポルカ @reeeeeen13
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