戦記を書いていると、防衛戦とかも描くので、よく想いを馳せるのですが、
【我が祖国】
【愛しい母国】
そういう考え方です。
【花天月地】などはまさに呉や涼州でそういう、自分の生まれた国、大地に愛着や特別大切だという想いを持ち、それが脅かされた時に守る行動に出る人間心理などを特にこだわって描いています。
【場所自体に、人間の魂が宿る】
というのが私は大好きで、
例えばスポーツを見ていても、クラブチームなどには「本拠地」というスタジアムなどがあったりしますが、他の人には単なる競技場でしかなくとも、そのクラブチームを愛好する人にとってはそこは魂の向かう場所――つまり【聖地】になります。
この【聖地】を共にする人たちは、その聖地の所有権などを争っていない限り、圧倒的な共感で分かり合え、結びつくことがあります。
面白いのが、単純な母国や祖国ではなく、
越境して【聖地】になる存在が地球上に所々現われること。
それはもはやその国の血を引くとか、属しているとか、関係なくて、多くの人の魂や心がその地に集まり、そういう【魂】のようなもので選ばれて、【聖地】になって行く特別な場所があるようです。
地球上にたくさん【魂の聖地】と呼ばれる場所はありますが、
私が特に昔から興味を持っていて、でも何故そこがそんなに特別だ特別だと言われるのか分からなくて、「?😊」と思っていた場所があります。
それが【メンフィス】です。
アメリカのテネシー州、西端にある街。
人心が集まるには、
人心が集まるだけの何か理由があると私は思っています。
何か大きな出来事や起こるのは、そのあと。
まず人が集まる。
つまりその大地自体になにか、単純な「理由とも限らない」、場合によっては本当に偶発的な、理由もない人間の必然的な集合がある。
そして人が集まると、何かが生まれるのですよね。
私は【メンフィス】の場合、それが【歌】だったのではないかと思います。
私はメンフィス博士ではないので、あまり詳しくは無いのですが、
要するに、【メンフィス】は音楽産業で名を馳せた場所。
かの有名な「キング・オブ・ロックンロール」エルヴィス・プレスリーも13歳の時にこの地に引っ越して来て、この地で音楽を聴き育ったことが彼の人生に大きく影響を及ぼしているそうです。
エルヴィスが少年時代、【メンフィス】には黒人の労働者が多かったそうで、彼は黒人の音楽を日常的に聞き、公会堂で行われていたゴスペルのショーも欠かさず見に行ったそうです。(歌が大好きだったんですね😊)
エルヴィスの家庭は貧しく、一度入場料を払えず、聞きに行けなかったことがあったそうです。
それに「おや? あのいつも見に来る少年今日は来てないな?」と気づいた人がおり、何かあったのかと聞いたら入場料を払えなかったエピソードを聞いたので、その人が「じゃあ今度からは裏口から君は入るといいよ」と言ってくれて、その後は無料でショーを見せてもらえたのだとか。
当時のアメリカは音楽でさえまだ肌の色によっての差別が常態化していて、
「黒人の音楽を聞いてはいけない」などということが場所によっては普通に罷り通っていた背景がありました。
エルヴィス・プレスリーは当時、そういう差別意識を純粋な【音楽】という力で打ち砕いた人で(この人が分け隔てなく音楽を愛したので、彼に憧れる若年層や、今まで音楽を聴いていなかった人たちも爆発的に音楽の垣根を取り払い、聞くようになった)。その影響力を、差別化により安定した世界を作ると思い込んでいた政治は恐れて、彼の音楽は有害だ、などと排撃する動きもあったほど。
さてエルヴィス・プレスリーについては私などよりもっともっと熱く彼を語れる人が山ほど世界にいると思うのでこれくらいにして。
とにかく【メンフィス】はエルヴィス・プレスリーのこの背景とも強く結びつき、
音楽の聖地となりました。(でも、その前にこの地には、少年時代のエルヴィスさんの心を強く惹きつける【音楽】が存在したことは、忘れてはいけない。というかそこが最も重要)
この背景を知らないものからすると、
メンフィスメンフィスって音楽に詳しい人はみんないうけど、
あそこには一体何があるの? と全く分からないんですよね。
私もその状態だったのですが、
ある日偶然に一つの曲に出会いました。
それが【Walking In Memphis】(メンフィスを歩く)です。
これはMarc Cohn (マーク・コーン)さんという方が作曲したもので、
音楽家としてスランプに陥っていた二十代後半に、
自分の中の何もかも、根こそぎに変えたい!! と思いとにかく(音楽の聖地と言われている)【メンフィス】に行ってみっか!!! と飛び出して来てメンフィスに降り立ち、街を歩き回り、感じたことを曲にした、いわゆるこの方の【旅行記】なんですね(私はそう感じた🥰)
だから、【メンフィスには一体何があるの?】という問いに、がっつり答えてくれる曲なのです。
ちなみに、作曲したのはマークさんですが、
上記に記したように【メンフィス】は音楽、または音楽を愛するもの、音楽に関わる者の【聖地】ですから、マークさんがメンフィスを歩いて感じたものに共感する音楽関係者は多く、カバーもされています。
私が一番最初にこの曲を聞いて感動したのは歌手兼女優のCher(シェール)さんがカバーしたもので、その後作曲したのはマークさんなのだということを知り、彼の曲も聞いたという順番になります。
マークさんの曲も勿論実感籠っていますから味わい深くて素敵ですが、
私はシェールさん版が伴奏も声もテンポもキーも好みにそのままはまってくれるので、特に好きです。
ちなみにマークさんは男性ですが、
シェールさんは女性。
なので【Walking In Memphis】は旅行記なので、一人称が性別違うと違和感があるということで、シェールさん版は性別が逆転した歌詞で書かれています。
しかし、それがいいのです。
上記に書いた通り、
【メンフィスの素晴らしさは、音楽を愛するもの万人に感じられるもの】
ということが重要なのですから、
性別とか関係ないのです。
マークさんが経験したことは、
メンフィスに行けば、女性だって経験できることなのですね。
そういうコンセプトの曲なので、
旅行記ですから、現地で会った人とか場所の固有名詞が出て来るのですが、
マークさんはミュリエルという女性ピアニストに出会っていますが、
シェールさんはガブリエルという男性ピアニストに出会っています。
これが、可愛いのです。
そして、そういうことがあり得るのがすなわち【メンフィス】という場所なのです。
一体メンフィスには何があるのか?
シェールさんのこの曲を聞いて、全部の答えがここに詰まっています。
メンフィスってなるほど、こういう場所なんだ✨という情景が、例えそれまでメンフィスのこと何も知らなかった素人にも鮮やかに感じ取れる。
非常に特別な曲だと思いますね。
地球上にはこういう、特別なパワーや、人を惹き付ける引力を持った場所があるようです。
私はこの【大地自体に特別な力ある】という概念がとても好きで、
勿論自分の作品の中でも多用しています。
【ジグラート】の【竜の森】
【花天月地】の【長江】
【アポクリファ】の【グレーター・アルテミス】
ここなら、自分が生きて行ける。
強くそんな風に魂を惹き付ける場所があり、
そこに出会った人がいたら。
絶対その場所を大切にすると思うのです。
私が戦記において防衛戦が大好きなのは、この思想に非常に深く繋がっているからかもしれません。
私がこの曲に強く惹かれるのは、
私が、【愛する故郷】というものを、全く持っていないからです。
生まれた場所とは私は今違う場所で生きています。
いわゆる故郷というような場所にはいい記憶が全くないため、非常に忌み嫌っており、「里帰り」したがる人間の気持ちが全く分かりません。
私が里に帰っても、そこで迎えるものの中に、愛しい、大切だと思うものが何も無いからです。
しかし元々、喜んでそこを飛び出した人間なので、
「故郷が欲しい」などと思ったこともなく、
別に帰る場所がなくても一切寂しいなどと思ったことがありません。
これからの人生で、本当に愛して止まない、離れがたい場所を見つけて、生涯そこを自分の故郷だと呼んで行けばいいんだ✨と思っているくらいで、全く故郷愛や母国愛が私はないのですが(日本より大好きな諸外国が山ほどあるしな)、
だからこそこの曲に強く惹きつけられるのです。
そして越境して、縁や所縁はもともとなくても、その大地に宿る何かに惹かれて、共感と共に集まって来る人間の行動にも惹きつけられます。
そして、非常に私自身も故郷を愛するタイプではなく、自分にとっての【聖地】を愛する側の人間なんだと理解しました。
よく動物なんかだと「産卵しに生まれ故郷に戻って来る」などと芸当をする種がいますが、不思議な能力だな~~~と常日頃から思っていて、何か彼らは、地上において、その大地が放つ特別な何かを感じ取って、記憶しているのか? とメカニズムが不思議なのですが、あれは動物ならではで、人間にはないものだよなと思っていたのですけれど、
【Walking In Memphis】を聞いて 人間にも、ある場所にたまらなく惹きつけられる本能あるわ と実感した次第です
メロディーも素敵ですが、旅行記である歌詞もものすごく素敵なのでぜひ聞いてみてください。オフィシャルでシェールさんがYouTubeにも上げて下さっています。
またシェールさんのMVがキュートなのです! エルヴィスとメンフィスに憧れる女性がエルヴィスに扮装してメンフィスを訪れるという内容。コーンさんは音楽家としてのスランプをどうにかしたくて救いを求めるようにメンフィスに向かいましたが、シェールさん版は「憧れのメンフィスについに来たわ!✨」感が詰まっていてほんと可愛らしいのです🥰
歌詞も翻訳はこの曲かなり人によって解釈が異なるのですが、
私はシェールさん版からはこの「憧れのメンフィスに対に来たわ!」というキラキラ感を感じますので
『Walking in Memphis
I was walking with my feet ten feet of a Beale』
の部分は
『メンフィスを歩いていると
まるで宙に浮かんでいるような気持ち』
という夢の中をふわふわと浮かれて歩いているような翻訳が好きです✨
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Cher - Walking In Memphis
Put on my blue suede shoes
スエードの青い靴を履いて
and I boarded the plane.
飛行機に乗り込んだ
Touched down in the land of the Delta Blues
土砂降りの雨の中、
In the middle of the pouring rain
デルタブルースの故郷が私を迎える
W C. Handy, won ‘t you look down over me?
W.C.ハンディ、私を見守っていて
Yeah, I got a first class ticket
ファーストクラスのチケットを持っていても
but I’m as blue as a girl can be.
心は少女のように沈んだまま
Then I’m walking in memphis
でも、メンフィスを歩いてると
I was walking with my feet ten feet off a Beale.
まるで宙に浮かんでいるような気持ち
Walking in Memphis,
メンフィスを歩いていると
but do I really feel the way I feel
まるで信じられない気持ち
Saw the ghost of Elvis
ユニオン・アベニューで
On Union Avenue.
エルビスの幽霊を見たの
Followed him up to the gates of GRACELAND.
グレイスランドの門を
I watched him walked right through
そのまま通り抜けていくのを見た
Now security that did not see him,
警備員は何も見なかった
they just hovered around his tomb.
彼らはただ墓の周りをうろついただけ
There’s a pretty little thing
ジャングルルームで
waiting for the KING
可愛い娘が
down in the Jungle Room
キングを待っている
When I was walking in Memphis...
メンフィスを歩いていると
I was walking with my feet ten feet off a Beale.
まるで宙に浮かんでいるような気持ち
Walking in Memphis,
メンフィスを歩いていると
but do I really feel the way I feel
まるで信じられない気持ち
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いてると
I was walking with my feet ten feet of a Beale
まるで宙に浮かんでいるような気持ち
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いていると
But do I really feel the way I feel
まるで信じられない気持ち
They got catfish on the table.
テーブルにはナマズが料理あって
They got gospel in the air.
ゴスペル音楽が流れている
Reverend Green be glad to see you.
祈ることがなくても
when you haven’t got a prayer.
グリーン牧師が歓迎してくれる
Boy, you’ve got a prayer in Memphis...
メンフィスにいると祈りたくなるんだ
Now, Gabriel plays piano
毎週金曜、ハリウッドでは
every Friday at the Hollywood
ガブリエルがピアノを弾く
And they brought me down to see him.
彼に会うよう連れていかれた
They asked me if I would
何曲か披露できるか
do a little number?
尋ねてきた
And I sang with all my might.
私は全身全霊を込めて歌った
He said,
そうしたら彼が言った
“Tell me, are you a Christian, child”?
「なぁ、あんたキリスト教徒かい?」
And I said, “Man, I am tonight”
私は答えた、「今夜はそうよ」
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いてると
I was walking with my feet ten feet of a Beale.
まるで宙に浮かんでいるような気持ち
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いていると
But do I really feel the way I feel
まるで信じられない気持ち
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いてると
I was walking with my feet ten feet of a Beale
まるで宙に浮かんでいるような気持ち
Walking in Memphis
(Walking in Memphis)
メンフィスを歩いていると
But do I really feel the way I feel
まるで信じられない気持ち
Put on my blue suede shoes.
スエードの青い靴を履いて
____________________
Boy, you’ve got a prayer in Memphis
の部分は前後の文から
メンフィスにいると祈りたくなるんだ
が落ち着きますが、
『メンフィスには祈りがある』
という和訳もとても好きです。合ってる。
さすが旅行記。小説も顔負けの情景描写です。
メンフィスに向かう時は心が沈んで雨も降っていたのに、
段々心が開いて行って、
晴れて行って、
大好きなものを全身で恐れることなく謳歌している様子が伝わってきます🥰
大地自体に特別な力が宿る。
大好きな概念なのでこれからも作品内でこういうのを存分に描いていきたいです。