概要
彼女はある日、大商家・琳家の若き当主・凌偉の婚約者として迎えられる。
凛として人を寄せつけない凌偉――その冷たい眼差しの奥には、誰にも触れられない優しさがあった。
すれ違い、揺らぎながらも、
言葉を重ねるたび、二人の心は少しずつ近づいていく。
触れればほどけてしまいそうな初恋。
それでも、手を伸ばした先には確かに温かな光があった。
傷を抱えた二人が、互いに「救われていく」静かな恋の物語。
――中華風恋愛×運命×癒やし。
心をそっと撫でる、やさしい恋愛譚。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!泥だらけの婚約者に、冷たい当主が差し出した手
第5話までを拝読しました。帳簿を整えていた春燕が、背中越しに「お前の婚約が決まった」と告げられる第1話の乾いた空気と、馬車の中で雪麗と赤い髪飾りをお揃いに結ぶ第2話の静かな幸福感との落差が、この主人公の寄る辺なさと芯の強さを同時に伝えてくれます。第3話で橋の崩落現場に迷わず飛び込み、泥にまみれて手当てをする春燕を、凌偉が叱るのではなく髪に絡んだ葉を摘み取って自分の馬に乗せる場面がとても好きでした。第4話の「土は裏切らない」という一言に彼の人柄が凝縮されていて、第5話で夕月と紅花が一気に距離を詰めてくる賑やかさも含め、冷たい当主の心が少しずつ灯っていく先を読みたくなります。
- ★★★ Excellent!!!燕の歌は男の傷を癒す
中華ものの作品ですが、後宮ではありません。
大きな商家を舞台としていて、まずその暮らしの解像度に驚きました。
食事、使用人の部屋、取引が行われる帳場の様子が細やかに描かれ目に浮かぶようです。
そして登場人物たちもひとりひとりが息づいています。私のお気に入りは女傑の風格がある叔母様と、その隣で一瞬ラスボスかと思わせたくせに実力は見せなかった叔父様カップルです(叔父様……まさか完全に叔母様のサポーターなのですか?)
現在文庫本一冊分程度の量で、第一章が綺麗にまとまったところ。主役の二人がそっと寄りそい始めています。繊細な二人の心の機微が伝わり、一気読みしたうえでレビューを書かせていただきました…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心をほどく癒やしの恋愛譚……触れればほどける初恋の温度が心地良い
母を失い、感情を押し殺して生きてきた春燕と、冷ややかな仮面の奥に深い優しさを秘めた大商家の若き当主・凌偉。
本作は、そんな二人が婚約という形で出会い、ゆっくりと言葉を重ねながら心を通わせていく、静かで滋味深い恋愛譚である。
派手な事件や過剰な感情表現に頼らず、視線の揺れや間の取り方、ささやかな気遣いによって関係性が進んでいく描写が非常に丁寧で、読者は自然と二人の距離の変化を追体験することになる。
春燕の愛らしさは健気さだけではなく、長く耐えてきた時間の重みから滲み出るものであり、凌偉の寡黙さもまた誠実さの裏返しとして一貫して描かれる。
そのため、わずかな優しさや歩み寄りが強く胸を打つ…続きを読む